展示

10 近世尾張の文化

近世の尾張では、城下町名古屋の繁栄とともに、独特の町人文化が生まれた。 テーマ10は、「近世尾張の文化」と題し、絵画・彫刻・工芸といった美術品のほか、俳諧に代表される文学、あるいは本草学・国学・儒学などさまざまな項目のなかから、おのおの小テーマを設け、年間を通じて実物資料を展示し、随時展示替えをおこなうコーナーとしている。

(おことわり:このページでは展示替資料の一例をご紹介しています。本日の展示品は▼常設展ニュースをご覧下さい。)

近世尾張の文化展示風景

10-1 絵画

江戸時代の名古屋では、名古屋城の障壁画などに、狩野派を中心とした絵画活動が早くからみられたが、江戸時代中期以降になると、南画や復古大和絵、浮世絵などさまざまな画派が生まれた。  中国の明清画に学んだ南画の分野では、丹羽嘉言や山本梅逸、中林竹洞らの大家が輩出し、平安時代以来の大和絵の復興をめざした復古大和絵では田中訥言や浮田一惠らが名高い。また、北斎の来名を機に盛んになった浮世絵の分野では、牧墨僊や森玉僊らが活躍した。

山本梅逸筆 畳泉密竹図(やまもとばいいつひつ じょうせんみっちくず)

山本梅逸筆 畳泉密竹図
(やまもとばいいつひつ じょうせんみっちくず)

10-2 刀

江戸時代を通じて名古屋城下で活躍した刀工は百数十名を数える。なかでも、相模守政常・飛騨守氏房・伯耆守信高の三人は、尾張で最も傑出した刀工で、後世「尾府三作」と称されている。

初代信高と三代政常が合作した短刀(しょだいのぶたかとさんだいまさつねががっさくしたたんとう)

初代信高と三代政常が合作した短刀
(しょだいのぶたかとさんだいまさつねががっさくしたたんとう)

10-3 陶磁器

江戸時代になると、瀬戸では、庶民向けの食器等に、さまざまな楽しい文様を描いた製品が次々に生産された。名古屋では、名古屋城内で焼きものが焼かれたほか、城下でも藩士や町人が趣味で作陶する者が現れ、さらには豊楽焼の豊助などのように、茶道具を専門に焼く陶工が出現するなど、多彩な展開がみられた。

草花文絵皿(ささしまやきそうかもんえざら)

笹島焼草花文絵皿
(ささしまやきそうかもんえざら)

10-4 学芸

学問の分野では、天野信景・河村秀根・鈴木朖・伊藤圭介など、すぐれた学者が輩出し、考証学・古典研究・本草学等の分野で業績を残した。また、出版文化が花開き、知識の普及に大きな役割を果たした。文芸の分野では、芭蕉が名古屋で蕉風を起こしたのを契機として、俳諧が盛んになったのが特筆される。代表的な俳人に、横井也有・久村暁台・井上士朗がいる。

横井也有画像(よこいやゆうがぞう)

横井也有画像
(よこいやゆうがぞう)

10-5 娯楽

江戸時代後期には、見せ物や開帳が頻繁に行われ、庶民の楽しみの世界が広がった。寺社の門前は、一種の「盛り場」と化したが、名古屋では大須観音・七ツ寺を中心とした南寺町一帯が、代表的な「盛り場」である。尾張藩士・高力猿猴庵(本名種信)による各種の図録絵本が、このありさまをつぶさに伝えている。

猿猴庵の本(えんこうあんのほん)

猿猴庵の本
(えんこうあんのほん)