展示

過去の展覧会の紹介

この展覧会はすでに終了しています。会期は前年度以前の日付です。

開館30周年記念特別展 大にぎわい 城下町名古屋

開館30周年記念特別展 大にぎわい 城下町名古屋

会期:9月22日(土)~11月4日(日)

休館日:9/25(火) 10/1(月) 10/9(火) 10/15(月) 10/22(月) 10/23(火) 10/29(月)

観覧料

一般 1200円 (1000円)
高大生 800円 (600円)
小中生 300円 (100円)

( )内は20名以上の団体料金
ユリカ・一日乗車券・ドニチエコきっぷでご来館の方は100円引。

城下町は大にぎわい

名古屋に城下町ができて、まもなく400年。江戸時代の名古屋はどんな様子だったのでしょうか。

名古屋の町づくりは、徳川家康の命により慶長15年(1610)、名古屋城の築城とともに始まりました。新しい町は碁盤割をもつ特徴ある町で、清須から武士・町人・寺社が引っ越してきたのが始まりです。

城下町の様子をのぞいてみると、さまざまな出来事で大にぎわい。外国から来たラクダやヒョウが見世物になり、熱田に海獣が出現、赤穂義士の宝物開帳が大人気を博す、といった具合です。殿様の一大事やシンボルの天守閣が傾く事件もありました。大須観音の『古事記』の価値が認められたのも江戸時代のことでした。

この展覧会では、城下町名古屋を大いに沸かせた出来事を中心に、町のしくみや規則、当時トップレベルを誇った学問や芸術の世界を紹介します。  今秋、博物館は開館30周年をむかえ、展覧会も話題満載、講座やイベントで大にぎわいですが、ここでは特に注目してほしい展示資料や関連事業をお知らせすることにしましょう。

新発見!! 堀川図屏風

京都や江戸の町を描いた屏風は数多く知られていますが、名古屋城下を描いた屏風は、これまでに1点も知られていませんでした。ところが昨年度、堀川沿岸を描いた屏風一双が発見され、この展覧会で初めて公開されます。

堀川は直線的な単調な川です。この川を絵にするにはかなりの工夫が必要です。描いたのは、江戸時代末期に活躍した尾張藩御用絵師の松吉樵渓。彼の力作をご覧ください。

堀川図屏風(名古屋市博物館)

堀川図屏風(名古屋市博物館)

巨大籠細工を再現

文政2年(1819)から3年にかけて、竹を編んで巨大な人形を造る籠細工が大流行しました。その様子は高力猿猴庵の『新卑姑射文庫』に詳しく記録されています。この展覧会では、猿猴庵の絵をもとに籠細工を再現しました。

一つは、ほぼ原寸大(高さ約2m)の獅子。逆立ちした獅子の愛敬たっぷりな姿で、皆様をお待ちします。もう一つは、『三国志』の英雄、関羽。江戸時代には約8mの高さで造られましたが、今回は3.6mの像が会場に登場します。当時の見世物小屋の迫力を体感していただけると思います。

カゴ細工

再現した獅子の籠細工

江戸時代のアザラシ騒動!

天保4年(1833)7月、熱田の海の新田に一匹のアザラシが出現しました。「又兵衛新田」のあたりに迷い込んだので、愛称を「マタちゃん」としましょう。

マタちゃんは、現れた当初から大人気。見物客相手に、手拭いや落雁(菓子)などの「マタちゃんグッズ」を商う人が出現しました。どこか現代に共通するものがあって驚きです。やがてマタちゃんは捕獲され、見世物小屋へ。人間にもなれて、「腹をみせよ」と言われれば仰向けになり、「手を貸せ」でお手をするなど、芸達者な人気者になりました。

マタちゃん(名古屋市博物館)

マタちゃん(名古屋市博物館)

空からながめる名古屋の町並

東海道と中山道を結ぶ美濃路は名古屋の本町通から始まります。江戸幕府は、享和2年(1802)に本町通を測量し直し、『美濃路見取絵図』を完成させました。あたかも空から城下町名古屋をながめているように描かれていて、高札場や木戸・水路の位置、二階屋と平屋の区別などがよくわかる貴重な資料です。当館では、20年ぶりの公開となります。

美濃路見取絵図

重要文化財『美濃路見取絵図』(東京国立博物館)

『古事記』の価値の発見者は?

国宝中の国宝といわれている『古事記』ですが、江戸時代の半ばまで、大須観音(真福寺宝生院)のお蔵の中で眠っていました。ところが、尾張藩士で国学者であった稲葉通邦は『古事記』を詳細に調査し、書き写された年を知る手がかりを見つけたのです。結局、『古事記』は応安4~5年(1371~72)に書き写されたことが判明しましたが、その手がかりは展覧会場でご覧ください。

古事記

国宝『古事記』(大須観音)

赤穂義士の名古屋人気

歌舞伎やドラマで大人気の「忠臣蔵」。実は赤穂義士の中に尾張藩の出身者がいました。名前は片岡源五右衛門。尾張藩士熊井重次郎の子で、赤穂藩士片岡六左衛門(重次郎の弟)の養子になったので、敵討ちが成功した時は名古屋も大フィーバーでした。

敵討ちから約百年後の文化5年(1808)、江戸泉岳寺の出開帳が名古屋で行われ大人気を博しました。その様子を伝えた『泉岳寺開帳』や義士の肖像画、片岡源五右衛門の手紙を泉岳寺から特別にお借りすることができました。

片岡源五右衛門画像(泉岳寺蔵)

片岡源五右衛門画像(泉岳寺蔵)

宗春の時代を描く「享元絵巻」

江戸時代中期、芸所名古屋の基礎を築いたといわれる7代藩主徳川宗春の頃の名古屋の繁華街を描いた唯一の絵巻です。

大須観音、七ツ寺、遊郭などに注目が集まりますが、細かく見ると小売りの店先、食べ物屋、呼び込み看板、芝居小屋の様子などに、当時のにぎわいと名古屋の風俗を感じることができます。

享元絵巻(名古屋城管理事務所)

享元絵巻(名古屋城管理事務所)

デジタル城下図CDを販売

今春、名古屋市博物館では、(1)現代、(2)廃藩置県前夜の明治3年、(3)開国前の弘化4年(1847)の、三枚のデジタル城下図を試作し、新聞にも紹介されて大きな反響をいただきました。

今回は、この展覧会にあわせ、新たに(4)町人文化が花開いた文政7年(1824)の城下図を加え、バージョンアップしたデジタル城下図CDを販売します。高力猿猴庵や水谷豊文など、文政頃に活躍した文化人の名前が探せるのも、楽しいですよ。

関連事業

詳しくは、イベントのページをご覧下さい。

(1)花魁道中とお鍬まつり行列

(2)大ダルマの展示

(3)講座

いずれも14時~15時30分(入場は13時30分から)。1階展示説明室にて。先着120名。聴講無料。

・9月24日(月・祝)「城下町はおもしろい」
・9月26日(水)「城下町を復元する」
・9月27日(木)「城下町の水事情・ゴミ事情」
・9月28日(金)「町触を読もう」
・10月13日(土)「名古屋初公開『泉岳寺開帳』」
・10月19日(金)「熱田に海獣出現」
・10月20日(土)「国宝『古事記』と大須観音」
・10月21日(日)「尾張藩士の婿取り事情」
・10月27日(土)「鈴木朖と尾張の国学」

(4)「猿猴庵の本」を読む

いずれも14時~15時30分(入場は13時30分から)。1階展示説明室にて。先着120名。聴講には各回のテキストが必要です(ミュージアムショップで販売。各1200円)。

・10月4日(木)『御鍬祭真景図略』
・10月14日(日)『笠寺出現宝塔絵詞伝』