過去の展覧会の紹介

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日本の絵葉書

名古屋市博物館第33回収蔵品展 日本の絵葉書 1900-1945
絵はがきは思い出にみちている

期間:平成21年1月8日(木)~3月1日(日)
休館日:毎週月曜日と第4火曜日
      ただし1月12日(月・祝)は開館、翌13日(火)休館
開館時間:9:30→17:00(展示室への入室は16:30まで)
展示会場:1階特別展示室
主催:名古屋市博物館
観覧無料

日本の絵葉書は明治33年(1900)、私製葉書の使用が国内でも認められるようになって以降、急速に普及したコンパクトな通信メディアであり、ほぼ14センチ×9センチという統一された規格を保ちつつ、創意工夫によって、そのデザインはバラエティーに富んだものとなっています。
 今回の収蔵品展では、日本で絵葉書の使用が始まった明治33年(1900)から、終戦を迎える昭和20年(1945)まで、名古屋を中心に近代日本の歩んだ歴史を絵葉書でたどります。

日本の絵葉書

左上:名古屋で初の電線地中化を行った本町通(昭和前期)
右上:戦争を生きのびた東山動物園のインドゾウ(昭和20年頃)
左下:創業当時の電車 名古屋市電気局市営15周年記念絵葉書(昭和12年(1937))
右下:名古屋鶴舞公園(大正~昭和)

プロローグ

節目の開府300年 その時名古屋は・・・  来たる平成22年(2010)、名古屋は慶長15年(1610)の名古屋城築城開始以来ちょうど400年という区切りの年を迎えます。この100年前にあたる明治43年(1910)も開府300年の年として、名古屋では相次いで催事が開かれ、飛躍の年となりました。記念絵葉書も各種発行されており、開府300年を盛大に祝った100年前の名古屋を振り返ります。

1.昔の子どもたち

昭和の初めの頃、子どもたちが台所道具で遊んだり、洗濯物を台無しにしたりと、さまざまないたずらを漫画風に描く絵葉書を紹介します。また、戦前の尋常小学校・尋常高等小学校など、木造校舎の時代を絵葉書でたどります。さらに、女学校の姿、伝統ある商業学校、高等工業学校、第八高等学校などの様子も併せて紹介します。

2.近代名古屋のまちづくり

明治19年(1886)、名古屋に鉄道が敷かれ、名古屋は急速に近代化してゆきます。近世以来の市街地碁盤割と停車場を結ぶ道路が広小路通りとして拡幅整備され、名古屋を東西に貫くメインストリートとなりました。  名古屋を題材とした絵葉書の中で、これら広小路通りにまつわる絵葉書は、最もバラエティーに富んでおり、さまざまなアングルや表現手法による絵葉書がみられます。広小路通りの移り変わりの様子を軸に、デパートや盛り場のあり方、洋風建築による都市機能の充実、庶民が近代化を肌で感じ取った電灯の普及など、多様な視点で近代名古屋のまちづくりを捉えます。

3.新しい名所・古くからの名所

人々が折に触れて訪れる、いわゆる「名所」には、近代以前にはなかった、新しいものが加わりました。それが公園です。名古屋では明治42年(1909)鶴舞公園、翌43年(1910)には中村公園(当初は県営公園)が開園しました。また、昭和12年(1937)東山公園が開園しています。これらの公園はいずれも市民の憩いの場や都市観光の名所として、名古屋を代表する場所となり、多くの絵葉書が発行されています。  こうした近代的な新しい名所とともに、熱田神宮・大須観音・東別院・八事興正寺といった有名社寺や名古屋城が、古くからの名所として、さかんに名古屋名所としてとりあげられています。

4.博覧都市NAGOYAと愛知のモノづくり

開府300年を迎えた明治43年(1910)、前年開園したばかりの鶴舞公園で、西日本を中心に3府28県が参加する第10回関西府県連合共進会という大規模なイベントが開かれました。名古屋市の人口が約40万人だった当時、260万人余の入場者を数え、実質的に博覧会と呼んでもさしつかえない規模の催しでした。  名古屋ではこれ以降、昭和3年(1928)に同じく鶴舞公園で御大典奉祝名古屋博覧会、同12年(1937)に臨港地帯(現港区内)で名古屋汎太平洋平和博覧会が開催されました。こうした博覧会の折々には、様々な絵葉書が発行されており、会場や市中の様子をたどることができます。

5.文化財を守り伝える

絵葉書の中には、点数は少ないですが、かつての考古学の発掘風景やその発掘品、史跡の景観を記録したものもあります。また、寺院の開帳にまつわる絵葉書や、民俗的な祭礼を記録する絵葉書も文化財のかつての姿を今に伝えています。  これらの中には、戦災で焼失したものも少なからずあり、今では、焼失以前の姿を伝える貴重な資料となっています。文化財の記録資料として、絵葉書の担う役割を紹介します。

6.ニュースを伝える新世紀のメディア

今では考えられないことですが、かつては事件報道を主眼とした絵葉書も発行されていました。市中の火災や暴風雨・地震・火山噴火といった自然災害や戦争勃発・改元等の号外ニュース等々、およそ眺めて楽しむ趣向の絵葉書ではありません。どうしてこのような絵葉書が発行されていたのか、報道のあり方の観点から絵葉書を考えます。

7.戦争と絵葉書

日本での絵葉書の普及は、日露戦争時の絵葉書ブームが契機となっています。以後、ことあるごとに出征兵士に対する慰問品として絵葉書は用いられました。とりわけ、昭和に入って軍国主義が高まり、戦時下に突入する時期には、絵葉書は強力なプロパガンダメディアとして、広く国民を巻き込んでゆきました。功罪相半ばするかつての絵葉書のあり方を、戦争との関わりの観点から考えてゆきます。

エピローグ 復興への足どり

戦災の跡をひきずりながらも次第に復興を遂げていく名古屋のまちの姿を絵葉書で紹介し、展示の締めくくりとします。

展示説明会

聴講無料 展示説明室・先着100名
毎回14時~15時(13時30分開場)

第1回 1月17日(土) 近代名古屋のまちづくり
第2回 1月24日(土) 博覧都市NAGOYAと都市観光のモダニズム
第3回 1月31日(土) ニュースを伝える絵葉書
第4回 2月14日(土) 戦争と絵葉書