展示

過去の展覧会の紹介

この展覧会はすでに終了しています。会期は前年度以前の日付です。

企画展 城からのぞむ尾張の戦国時代

企画展 城からのぞむ 尾張の戦国時代

会期:6月16日(土)→7月16日(月・祝)
休館日:毎週月曜日と第4火曜日(6月18・25・26日、7月2・9日)。

観覧料

一般 300円 (400円)
高大生 200円 (300円)
小中生 無料 無料

( )内は常設展との共通料金。
30名以上の団体およびユリカ・一日乗車券・ドニチエコきっぷでご来館の方は50円引。
名古屋市在住の65歳以上の方は100円(200円)。要敬老手帳等。

名古屋初出品! 重要文化財・信長画像

重要文化財、信長画像

重要文化財・織田信長画像(豊田市長興寺蔵)を、6月16日(土)から6月24日(日)まで展示いたします
[6月27日(水)→7月16日(月・祝)は複製を展示]。

尾張名古屋は城でもつ

名古屋の人ならどこかで聞いたことのあるフレーズです。しかし、金鯱を頂く名古屋城が出現する以前、名古屋市域には、実に百以上の「城」が存在していました。尾張地域では現在確認されているだけで数百を数えます。これだけたくさんの城は、何のために築かれたのでしょうか。これらの城は、一体どんな姿をしていたのでしょうか。どのような曲折をへて、江戸時代の城へたどり着くのでしょうか。城の歴史について意外と知らないことが多いことに気づきます。そして尾張地域の城となると尚更です。

城の歴史を考える際、当地域出身の織田信長の存在が欠かせません。今回の展覧会では、名古屋初出品となる織田信長画像(重要文化財 長興寺蔵)とともに、近年の発掘調査の成果も盛り込みながら、信長をはぐくんだ尾張の地に焦点をあて、城と合戦、そして人々とのかかわりを考えます。  この展覧会を通して、まさに「城」でもった、もうひとつの時代を感じていただきたいと思います。

展示構成

1.土の城のなりたち

中島郡勝幡村古城絵図と小牧山城木製模型

左 中島郡勝幡村古城絵図 江戸時代 名古屋市蓬左文庫蔵

右 小牧山城木製模型 江戸時代 江崎通彦氏蔵

 私たちのもつ城のイメージは、江戸時代の城がもとになっています。しかし戦国の世、城が軍事施設としての機能をもっとも発揮した時代には、城は素掘りの堀や土塁で防御を固めた、その字の通り「土で成る」構造物でした。しかも、現代、「城」と呼ばれる遺跡は、実は代々領主が拠点にした屋敷だったり、急拵えの砦だったり、さらには屋敷を兵の駐屯地に改造したものだったりと、様々な性格をもっています。イメージのベールをめくって、戦国の城のなりたちをのぞいてみましょう。
また、戦国の城は、その後の時代には「古城」として人々に語り継がれていきます。現代の私たちが失われた城を調べる手がかりとして、江戸時代の記録に残る戦国の城を紹介します。

2.尾張の領主と城

岩倉城遺跡出土資料

岩倉城遺跡出土資料 16世紀 愛知県埋蔵文化財調査センター蔵

 尾張は数々の武将を生み出した地域ですが、彼らが拠点とした城の様子については、あまり広く知られていません。尾張西部の平野地帯では、信長の生誕地である勝幡城をはじめとして、大半の城が周囲を堀と土塁に囲まれたものでした。  また、東部の丘陵地帯や知多半島では、三河・伊勢といった近隣の勢力を意識した城づくりがおこなわれています。
 ここでは各地のおもな領主と、その本拠になった城を紹介します。

3.合戦と城

 実際の合戦では、城や砦は情報の中継や兵・物資の集積地など、多様な役割をはたしています。特に尾張は、日本史上特筆すべき戦いの舞台として、重要な意味を持つ地域でもあります。この尾張を舞台に繰り広げられた合戦をとりあげ、具体的に合戦での城のあり方を考えます。

1.桶狭間合戦と城

 桶狭間の合戦は、永禄3年(1560)、今川義元を討ったことにより信長の勢力地図を大幅に塗り替えた合戦です。信長の逆転勝利のように語られることの多いこの合戦ですが、城という視点からこの合戦をみると、当時の勢力関係と、戦い前後の緊張状態が読み取れます。戦いの舞台となった城や砦の構造から、それらの城に課せられた役割を紹介します。

2.小牧長久手の合戦と城

 天正12年(1584)、秀吉と家康・織田信雄連合軍が戦闘状態に入りました。尾張北部を中心としてその戦場は美濃・伊勢にまで及んでいます。半年余りにわたり、広範囲で繰り広げられたこの合戦では、多くの城が築かれ、利用されました。そこでは敵の動向を敏感に察知して城や砦が築かれ、時には行軍の防波堤の役割、時には誘導作戦の囮というように、時機に応じて城に与えられた役割をうかがうことができます。尾張平野に張り巡らされた多くの城が、戦況と共にその役割を変化させる様子をさぐります。

4.集落と城

 戦国の尾張に生きた人々と城とは、どんな接点をもっていたのでしょうか。農耕用の水利をつかさどる城もあれば、諸国を結ぶ街道をおさえた位置に構えた城もありました。  当時、物資や情報が行き交う経済拠点でもあった大きな寺社の周辺。こういった経済の力に目をつけ、城下へ取り込もうとした、信長の楽市楽座政策は有名です。城づくりをまちづくりにつなげる要素が、ここに浮かび上がってきます。

5.石の城へ

愛知県指定文化財、築城図屏風(部分)

愛知県指定文化財・築城図屏風(部分) 江戸時代 館蔵

 天正14年(1586)、信長の息子信雄によって大改修された清須城は、重厚な石垣に瓦葺き建物をもつ、今の私たちの城のイメージに近いものとなりました。城下も町として整備され、寺社や市場も取込み、尾張地域の一大拠点をかたちづくっていったのです。それは江戸時代につながる城の誕生であり、戦国の城の終焉でもありました。

 今回紹介する城のなかには、市街地化にともない、すでに失われたものも多くあります。しかし、現代でも完全には失われておらず、公園や寺社の敷地となり、いくらかでも当時の手がかりを得ることのできる城もあります。みなさんのお住まいの近くにも、戦国の城がひっそりと人知れず残っているかもしれません。城は、現代と戦国の世をつなぐ、貴重な証人なのです。

【関連事業】

展示説明会

6月24日(日)午後2時~

「戦国の城・尾張の城」

7月1日(日)午後2時~

「名古屋市内城跡巡りのススメ」

両日とも講師は学芸員

1階展示説明室 聴講無料  先着120名

戦国の城探検ツアー(要事前申込み。締め切りました)

Aコース 6月23日(土)  小牧市小牧山城

 近年調査と整備が進む小牧山。最新情報はぜひ現地で御覧ください。当日は山頂まで徒歩で登ります。自家用車をご利用の方は小牧市役所の駐車場も使用できます。

Bコース 6月30日(土)

 名古屋市千種区末盛城跡

 名古屋市内で最も保存状態のよい城。堀の深さや城の規模を体感してください。駐車場はありませんので公共交通機関をご利用ください。

 いずれも9時30分集合~2時間程度。少雨決行。現地集合解散。定員30人。