NIPPONパノラマ大紀行 吉田初三郎の描いた大正・昭和
鳥になって空高く飛び立てば、目の前には見晴らす限りの爽快な景色が広がることでしょう。空を飛んでいる鳥が、地上を斜め下に見下ろしているように描かれたパノラマを「鳥瞰図(ちょうかんず)」といいます。日本では大正から昭和にかけて、こうした鳥瞰図が鉄道旅行の広まりとともに、携帯に便利なガイドとなりました。鳥瞰図を観光案内に用いたアイデアマンは吉田初三郎(よしだ はつさぶろう:1884~1955)という京都出身の画家で、最盛期には犬山の蘇江(そこう)画室を拠点にして、全国各地の鳥瞰図を描きました。そして彼の作品に魅せられ、その収集と研究に打ち込んだ人物が愛知県出身の小川文太郎氏(おがわ ぶんたろう: 1898~1985)です。戦災をこえて今に伝わる同氏のコレクションにより、大正・昭和の日本を空からじっくり眺めてみませんか。今年はちょうど吉田初三郎の生誕130年にもあたります。さあ、レトロな日本の空旅へ出かけましょう。
(観覧料) | 一般 | 高大生 | 小中生 |
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当日 | 600 | 400 | 無 料 |
団体(20名以上) | 400 | 200 | 無 料 |
・名古屋市交通局の一日乗車券・ドニチエコきっぷを利用して来館された方は100円割引
・身体等に障害のある方は手帳の提示により、本人と介護者2人まで当日料金の半額。
・各種割引は重複してご利用していただくことはできません。ご了承ください。
「鳥瞰図を読み解く」(当館学芸員 井上善博)
会期中の土曜日に計5回 午後2時より(毎回約60分)
1階展示説明室(1時30分開場) 先着100名 聴講無料
鳥瞰図はぼんやりながめていても、いろいろな発見があって楽しいものですが、いくつかの視点で改めて見直すと「なんだそうだったのか」と、そのわかりやすさのヒミツがわかってきます。鳥瞰図のマジカルワールドをじっくり解きほぐしながら、空から眺める日本のイメージをリーディングしてみましょう。
第1回 7月26日(土) 鳥瞰図に魅せられて~小川文太郎コレクションの成り立ち~
戦前名古屋在住で電話局に勤務していた小川文太郎氏は、昭和3年以降生涯にわたって鳥瞰図を収集し、関連する資料を整理しました。連続講座の初回として、コレクションの成り立ちとその内容・意義を解説します。
第2回 8月9日(土) 初三郎式鳥瞰図のマジック~富士山へのこだわり~
鳥瞰図作者として第一人者であった吉田初三郎。彼の作品が小川コレクションのほとんどを占めています。初三郎は日本全国の鳥瞰図を描きましたが、その多くには、実際に見えても見えなくても富士山を描き込んでいます。そのこだわりの謎を考えてみましょう。
第3回 8月16日(土) 「史鉄(してつ)」の楽しみ~生まれる鉄道・消えゆく鉄道~
鉄道ファンの楽しみ方は撮り鉄、乗り鉄、時刻表を楽しむスジ鉄など様々です。ならば鉄道路線や駅の開業・延長・廃線など、その歴史を鳥瞰図で楽しむ「史鉄」もあるのでは?。目をこらして見ていると、記録にはない駅名を発見!なんてことも。
第4回 8月30日(土) 鳥瞰図を旅する~千年の都・京都~
吉田初三郎は京都出身だったこともあり、京都の鳥瞰図を多数描いています。同じ地域を描きながらも、それぞれに視点が異なり、千年の歴史に彩られた京都の魅力をさまざまに引き出しています。そうした鳥瞰図で京都を旅してみましょう。また、日本を代表する観光地でもあるこの京都を題材として、鳥瞰図がどのような要因で私たちに深い印象を与えてくれるのか考えてみましょう。
第5回 9月6日(土) 地震・火災の苦難を越えて~時を刻むふるさとの景観~
今から100~75年ほど前にさかんに制作された鳥瞰図は、当時の日本各地の景観を描いたのみならず、それぞれの地域がいやおうなく遭遇した火災・地震・戦時下へ至る世相など、それぞれの「時」を色濃く刻んでいます。しめくくりとして、鳥瞰図から「時」を読み解いてみましょう。
会期中毎日開催します。参加は自由です
小中学生のみなさんは夏休みの自由研究にどうぞ。
会場入口でクイズ用紙を受け取ってください。会場出口で答え合わせができます。
7月29日~31日、8月5日~7日(いずれも火・水・木曜日)の6日間
当日9時半の開館時間より小学生とその保護者の方20組先着順受付(1階ロビー)
保護者の方はチケットをお買い求めください。
朝10時より学芸員の解説付きでクイズラリーを開催します(約30分)
会場内ではかんたんなパズルも楽しんでいただけます。
鳥瞰図(ちょうかんず)を原寸大で印刷し、48~96ピース程度のパズルにしたものです。
毎日5種類×4セットずつご用意しています。
A4変型判 本文136ページ カラー写真350枚以上収録
7月26日の開会初日より会場で発売します。