特別展 The 名古屋市博物館 豊臣家文書収集と博物館の現在地
名古屋市博物館は令和5年(2023)10月1日からリニューアルのため休館し、数年をかけて新しい時代を見据えた博物館に生まれ変わります。
長期休館を目前とした本展では、新しく購入した重要文化財「豊臣家文書」をお披露目しつつ、近年の取り組みなどから名古屋市博物館の現在地と博物館がめざすこれからを紹介します。
展覧会名称 |
特別展「The 名古屋市博物館 豊臣家文書収集と博物館の現在地」 |
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会期 |
令和5年4月29日(土曜)~令和5年6月11日(日曜) |
休館日 |
毎週月曜日(祝日の場合は直後の平日)毎月第4火曜日
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開館時間 |
9時30分~17時(入場は16時30分まで) |
会場 |
名古屋市博物館 1階 特別展示室・部門展示室 |
主催 |
名古屋市教育委員会・名古屋市博物館、
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一般 | 高大生 | 中学生以下 |
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800円(600円) |
500円(300円) |
無料 |
重要文化財「豊臣家文書」は、豊臣秀吉とその一族の栄華を物語る67通の文書です。尾張が日本史の表舞台となった時代、その歴史の大きなうねりを体現する文書群を名古屋市は令和4年度に購入しました。収集後はじめて主な資料を公開します。
重要文化財 豊臣家文書 館蔵
博物館資料の収集からはじまり、市民の寄付による資料修復、市民と連携した展示・イベントの開催、そして、これからの時代に即した魅力ある博物館になるための魅力向上計画の策定など、近年の名古屋市博物館の活動がわかります。
昨年行われた世界博物館会議(ICOM)で博物館の定義が変更され、今年4月1日から改正博物館法が施行されるなど、「博物館」の社会における役割が変わってきています。市民とともに活動してきた名古屋市博物館の活動とこれからの展望を通じて、博物館について考えるきっかけとなります。
名古屋市博物館は前身となる機関などがあったわけではなく、人口200万人突破の記念事業の一つとして昭和43年(1968)に構想が発表されました。そうした意味でまったくのゼロから出発しました。その後準備期間を経て、昭和52年(1977)の開館以来この地域を代表する歴史系の総合博物館として活動してきました。40年を超える活動の中で、博物館の理念や基本となる資料の収集保管、調査研究、展示、教育普及といった機能は変わりませんが、時代の流れや社会の変化に合わせて、実際の活動は大きく変わってきました。
名古屋市博物館建設工事着手前敷地全景 昭和48年撮影 館蔵
テーマ1 収蔵品になるまでの話
テーマ2 「豊臣家文書」と秀吉研究
テーマ3 山田芳写真資料研究序説
所蔵資料は、まったくのゼロから始まったにも関わらず、これまでの継続的な活動により27万点を超える一大コレクションとなりました。そのうち9割以上は寄贈によるものであり、まさに市民が作り上げたコレクションと言えます。近年では映像資料の寄贈が増えているのも特徴です。一方で、断続的に資料の購入も行っており、令和4年度に購入した重要文化財「豊臣家文書」を収集後初めてお披露目します。
資料は収集して終わりではありません。調査や研究を重ね、資料の価値を高めながら、展示をはじめ魅力ある活用方法を模索していくのです。
重要文化財 宣旨(関白)天正13年(1585)7月11日付 豊臣家文書 館蔵
テーマ4 絵画の修復
テーマ5 考古資料(金属器)の保存処理
テーマ6 写真資料のデジタル化
テーマ7 これからの「よみがえれ文化財」
資料は保管していても、長い年月による傷みなどにより、そのままでは活用できない場合もあります。名古屋市博物館では平成25年(2013)から、市民の寄付により博物館資料を修復する「よみがえれ文化財」を実施しています。令和3年度末までに217件約5300万円もの寄付をいただき、多くの資料の修復や保存処理、写真のデジタル化などを行ってきました。これらの資料は、展覧会や図録など様々な場面で活用しています。この中で、近年修復等を行った源氏物語絵巻や高蔵1号墳出土鉄器、写真のデジタル化などの成果をお披露目します。
源氏物語絵巻 桐壺(部分)江戸時代前期 館蔵
テーマ8 くらしのうつりかわり・なごやのうつりかわり
テーマ9 米騒動絵巻と大正の名古屋
博物館の資料はあまりおしゃべりではありません。現代の私たちとは言葉や文化が違うこともあるため、少しへだたりを感じることもあるかもしれません。ところが、適切な解説を加えたり、いくつかの資料を組み合わせてみたり、比べたりすることで、作ったり使ったりした人々の想いがわかるようになるのです。さらに、観るだけでなく、触ることや匂いなどがあれば、よりリアルに体感できます。実物から得られる情報を引き出し、様々な物、情報を合わせて各々が理解を深める、そうした展覧会こそ、情報があふれる現代において必要なのです。
なごやのうつりかわり体験学習室 令和5年撮影
テーマ10博物館と地域社会
テーマ11博物館とネット社会
名古屋市博物館は、小中学校や大学との連携、また、市民との協働を継続的に行ってきました。特に近年、瑞穂通商店街や大須商店街と連携した事業や、大学生が博物館を舞台として新たなイベントを実施しています。博物館の様々な活動に多くの人々が関わる中で、参加した人々が知らなかった歴史文化の根本に触れ、知的好奇心が刺激される機会となっています。
さらに、インターネットの急激な広がりにより、日本中さらには世界中の人々とつながることできるようになったこの時代、博物館は何を行っていくのかが問われています。社会とつながる博物館活動の挑戦と課題を見ていきます。
お鍬祭りの再現:瑞穂通商店街の神輿 平成19年撮影
お鍬祭りの再現:大須商店街の小クジラ1号とタコ 平成19年撮影
平成22年(2010)Jリーグ優勝を記念して、翌23年7月24日に行われた中村直志さん(左)のトークショー。
展示では、中村直志さんのユニフォームなども展示します。クラブ初公開となるJリーグ優勝記念メダルは必見です。
テーマ12博物館のあゆみ
テーマ13博物館のこれから
名古屋市博物館は、昭和52年(1977)に開館しました。開館以来、この地域を代表する歴史系総合博物館として絶え間なく活動しながら、膨大な資料を収集し、調査成果などを展覧会や教育普及事業を通じて発信してきました。一方、約半世紀の間に博物館を取り巻く世界は大きく変化し、その開きは加速度的に大きくなっています。この激動の時代に対応していくために、これまでの活動を振り返ることで博物館の現在地を確認することが必要です。これまでのあゆみをふり返りつつ、令和4年(2022)に策定した名古屋市博物館の魅力向上基本計画をもとに博物館が目指すこれからを紹介します。
博物館リニューアルイメージパース(基本計画時)
「はくぶつかん講座」の一部です。この展覧会にあわせたテーマでお話しします。
各回10時00分~11時00分(開場9時30分)
会場:名古屋市博物館1階 展示説明室
定員:各回先着70名(要事前申し込み)※聴講無料
本展の展示作品は、一部を除いて写真撮影が可能です。撮影にあたっては以下の条項をお守りください。