特別展 もしも猫展
猫が人だったら、人が猫だったら。
「もしも、うちの猫が人のように話したら?」そんな想像をしたことはありませんか。
人間以外の何かを人間になぞらえることを擬人化(ぎじんか)とよびます。
天保12年(1841)頃から、浮世絵師の歌川国芳(うたがわくによし)は猫を擬人化したり、役者を猫にした作品を次々と発表していきます。
本展では猫の擬人化作品と、それらを描いた歌川国芳を主軸に据えながら、江戸時代の擬人化表現の面白さに着目します。そのなかで、なぜ国芳の作品にかくも惹きつけられるのか、その魅力のありかを探っていきます。
※会期中、場面替えを行います。詳しくは本展公式サイトをご確認ください。
※会場内は描かれた猫にとって快適な環境になっています。人間には少し寒く感じられるかもしれませんので、調整のしやすい服装でのご来場をおすすめします。
※写真撮影OK(一部の作品を除く。フラッシュや動画は禁止)。
歌川国芳 流行猫の曲鞠 個人蔵
落合芳幾 歌川国芳死絵 名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
展覧会名称 |
特別展「もしも猫展」 |
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会期 |
令和4年7月2日(土曜)~令和4年8月21日(日曜) ※会期中に場面替えがあります。詳しくは本展公式サイトをご確認ください。 |
休館日 |
7月4日、11日、19日、25日、26日、8月1日、8日 |
開館時間 |
9時30分~17時(入場は16時30分まで) |
会場 |
名古屋市博物館 1階 特別展示室・部門展示室 |
主催 |
名古屋市博物館、中京テレビ放送 |
一般 | 高大生 |
小中生 |
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1,600円(1,400円) |
1,000円(800円) |
500円(300円) |
【3館前売セット券のご案内】
本展と同時期に名古屋で開催する2つの展覧会《名古屋市科学館「特別展 宝石~地球がうみだすキセキ~」(7月9日~9月19日)、名古屋市美術館「ボテロ展 ふくよかな魔法」(7月16日~9月25日)》をご覧いただける前売セット券です(枚数限定)。前売価格合計4,600円から3,700円とお得になっています。ご購入はローソンチケット(Lコード=45368)またはセブンチケット(セブンコード094-573)にて。
下記の各展覧会観覧券(半券可)のご提示で、特別展「もしも猫展」の当日料金を100円引きします。
また、同様に「もしも猫展」の観覧券(半券可)で下記の各展覧会を当日料金の100円引きでご覧いただけます。
いずれも1枚につき1名様のみ有効で、他の割引制度との併用はできません。
令和4年7月9日(土曜)~9月19日(月曜・祝日)
名古屋市科学館
令和4年7月16日(土曜)~9月25日(日曜)
名古屋市美術館
擬人化表現はパロディの一種ともいえ、人々が共有するイメージ、つまり広く知られた特質や伝承、あるいは世間を騒がせた話題を元として制作されることがあります。その場合、既存イメージからの逸脱から生まれる「可笑しみ」に妙趣があるといえるでしょう。とりわけ、大衆が主たる購買者である浮世絵では、こうした傾向が顕著ですが、現代となってはかつて共有されていたイメージ自体がとらえがたいものとなっており、当時の人々が味わった楽しさが分かりにくくなっています。
そこでまず展覧会の幕開けとして、擬人化して描いた作品と元となったイメージを具体的に見比べてみることで、擬人化表現の魅力を再発見していきます。
歌川国利 新版猫の玉のり 個人蔵
新版玉のり尽 個人蔵
室町時代から江戸時代初期にかけて、人間以外のものが主役となる「異類物(いるいもの)」が種々創作されました。ここでは、「異類物」の系譜をひく御伽草子や幕末の風刺画などにより、江戸時代から明治にかけての擬人化表現の歴史を概観していきます。もちろん歌川国芳による滑稽な戯画も見逃せません。
同時に、擬人化することでどのような効能が引き出されるのか(それはまた絵師が何を意図したかということでもありますが)、さらには擬人化の表しかた、擬人化の範疇などを見ていきましょう。
鼠草子絵巻 巻五(部分) サントリー美術館蔵
※会期中、場面替えを行います。
鶏鼠物語絵巻貼付屏風(部分) 名古屋市博物館蔵
化猫退治絵巻(部分) 個人蔵
※会期中、場面替えを行います。
天保13年(1842)、雌猫“おこま”を主人公にすえた合巻『朧月猫の草紙』(おぼろづきねこのそうし、山東京山作、歌川国芳画)が刊行され、シリーズ化するほどの人気を得ました。本展では異類の婚礼儀礼をつづった「嫁入物(よめいりもの)」の流れのなかに『朧月猫の草紙』を位置づけ、さらには後世へ与えた影響として、おもちゃ絵への展開をみていきます。
京山・国芳という大の猫好きコンビによって江戸時代のさまざまな共有イメージが巧みに織り込まれた“おこま”ちゃんの波乱万丈猫生をお楽しみください。
浮田一惠 狐の嫁入図(部分) 名古屋市博物館蔵
山東京山作・歌川国芳画『朧月猫の草紙』六編 個人蔵
天保12年(1841)頃、歌川国芳は「猫の百面相」なる団扇絵を制作します。猫を人間らしい仕草で描くばかりではなく、実在する人間である歌舞伎役者を猫に仕立てるという趣向は、国芳ならではの新機軸でした。これにより役者戯画の幅が大きく拡がることとなります。
さらには猫だけでなく亀や十二支などに対象が及びながら、同趣向は後世の浮世絵師たちへ受け継がれていきます。国芳の前時代に培われた役者似顔絵の記号化に言及しつつ、その様相と定着をご覧いただきます。
歌川国芳 猫の百面相 忠臣蔵 個人蔵
歌川国芳 亀喜妙ゝ 名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
思わずセリフを付けたくなってしまうぐらい表情が豊かであることが国芳作品の魅力。天保11年(1840)頃から、国芳は様々な状況下に置かれた人間の表情をとらえた絵「百面相」を集中的に発表しています。それらは「こんな人、いるよなあ。」「これは、もしかしてあのシチュエーション?」と、時代を超えて共感できる面白さに溢れています。おしゃべりな顔「百面相」からは、国芳の観察力と的確な描写力をうかがい知ることができます。
花笠文京填詞・歌川国芳画『写生百面叢』名古屋市蓬左文庫蔵(尾崎久弥コレクション)
歌川国芳 戯画笑百面 まけせうぎ ほか 個人蔵
対象物をいかに観察し、描くか。そしてアイデアをどのように膨らませるか。展覧会の最後に、浮世絵師、歌川国芳の溢れる才と魅力を存分にご堪能ください。
歌川国芳 流行猫の狂言づくし 個人蔵
7月16日(土)
開演:13時30分(開場は13時00分)
会場:地下1階 講堂
講師:当館学芸員 津田卓子
定員:先着110名(事前申し込み)
聴講無料(ただし本展観覧券の半券が必要)
本展の展示作品は、一部を除いて撮影いただけます。撮影にあたっては以下の条項をお守りください。
その他、作品の保護・安全のため、当館の指示に従ってください。
○体調がすぐれない方は来館をご遠慮ください。
○検温で37.5°C以上の発熱が認められた場合は観覧をお断りします。
○会場内ではマスクを必ずご着用ください。着用しない方は観覧をお断りする場合があります。
○混雑状況に応じて入場制限を行なう場合があります。
○新型コロナウィルス感染症の影響により、展覧会および関連事業を変更・中止する場合があります。ご来館前に本展公式サイト・SNSにて最新情報をご確認ください。
公式サイトもしも猫展 名古屋