特別展 挑む浮世絵 国芳から芳年へ
怪奇、快感。
旺盛な好奇心と柔軟な発想、豊かな表現力を武器として浮世絵のさらなる活性化につなげた歌川国芳 [うたがわくによし](1797年から1861年)。本展では国芳の武者絵を中心としながら、月岡芳年[つきおかよしとし](1839年から92年)ら弟子たちの作品にもスポットを当てます。そして幕末から明治にかけ、国芳の個性がどのように継承、変化していったのかを、尾崎久弥[おざききゅうや](1890年から1972年)、高木繁[たかぎしげる](1881年から1946年)のコレクションなど当館が所蔵する浮世絵によってたどります。人々の嗜好に合わせ最後まで新しい画題と表現に挑み続けた、国芳を領袖とする「芳ファミリー」の活躍をご覧ください。なお展示作品には残虐な描写のものが含まれます。ご用心!!
本展の展示作品はすべて撮影いただけます。撮影にあたっては以下の条項をお守りください。
その他、作品の保護・安全のため、当館の指示に従ってください。
展覧会名称 | 挑む浮世絵 国芳から芳年へ |
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会期 | 平成31年(2019)2月23日(土曜)から4月7日(日曜) |
休館日 | 毎週月曜日、第4火曜日(2月26日、3月26日) ※2月25日(月曜)、26日(火曜)、3月4日(月曜)、11日(月曜)、18日(月曜)、25日(月曜)、26日(火曜)、4月1日(月曜) |
開館時間 | 9時30分から17時(入場は16時30分まで) |
会場 |
名古屋市博物館 1階 特別展示室・部門展示室 |
主催 |
名古屋市博物館、中日新聞社、東海テレビ放送 |
協賛 |
野崎印刷紙業 |
一般 | 高大生 | 小中生 |
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1,300円(1,100円) |
900円(700円) |
500円(300円) |
チケット名 | 価格 | 販売期間 | 販売場所 |
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●春分の日まで待てない! ※開幕から3月20日(水曜)までご観覧いただけるお得な前売券です。 |
1,000円 |
11月1日(木曜)から平成31年(2019)2月22日(金曜)まで |
中日新聞販売店、チケットぴあ(Pコード=769-400)、ローソンチケット(Lコード43699)、セブンチケット、イープラス |
チケット名 | 価格 | 販売期間 | 販売場所 |
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●グッズセットチケット ※一般観覧券とオリジナルグッズがセットになった 国芳の花魁雀がキューピーになりました。 |
1,700円 |
11月1日(木曜)から平成31年(2019)2月22日(金曜)まで |
ローソンチケット(Lコード43699)※券種は一般のみ。 |
歌川国芳の出世作であり、その後も得意としたのが歴史上や物語に登場するヒーローの勇ましい姿を描いた「武者絵」です。そのDNAは弟子たちに確実に引き継がれていきました。国芳や弟子が逸話やヒーローたちをどのように表現したのかをみていきます。
歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一人
花和尚魯知深初名魯達」名古屋市博物館蔵
歌川国芳「弁慶が勇力戯に三井寺の梵鐘を叡山へ引揚る図」
名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
歌川国芳「吉野山合戦」
名古屋市博物館蔵
(高木繁コレクション)
ヒーローの勇ましさを強調するためには、彼らが対峙する怪奇をいかに恐ろしく表すかということが重要です。また状況が異常であればあるほど画中のドラマ性は高まります。国芳は血がほとばしる残虐な場面を描いた作品を描いていますが、時代の要請だったのでしょう、弟子もまたその路線を受け継ぎました。本章ではそうした怪奇を描いた作品や「血みどろ絵」と呼ばれる作品を紹介します。
特に落合芳幾と月岡芳年が手がけた「英名二十八衆句」は全点を一挙公開します。
体調を整えた上でご覧いただくことをおすすめします。
歌川国芳「相馬の古内裏」名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
月岡芳年「英名二十八衆句 福岡貢」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
落合芳幾「英名二十八衆句 げいしや美代吉」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
国芳が描く美人像は、現実味にあふれ、はつらつとした明るさを放っています。一方で芳年の描く美人は妖艶な雰囲気をたたえています。そうした女性たちは、国芳一門では、「しぐさ」や「気持ち」をまとって表現されます。ここでは、美人画を中心に役者絵も含めたそれぞれの人物表現をみていきます。
歌川国芳「山海愛度図会 五十七 はやく酔をさましたい 豊前小倉縞」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
月岡芳年「風俗参十二相 かゆさう」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
国芳の戯画(滑稽な絵)はバリエーションの豊富さと、そしてアイデアの奇抜さにおいて他の追随を許しません。第1章の武者絵と並んで彼が浮世絵界に残した新機軸といっていいでしょう。
さらに一見、ユーモラスに見える国芳の戯画のなかには、幕政を風刺しているとしてさまざまな憶測が飛び交い大評判をとったものもあります。ここでは当時、話題となった見世物に取材したものや、世相をネタにした戯画など、ニュースソースとしての作品を紹介します。国芳が時代をどう捉え、いかに商品としたのか、その挑戦を見ていただきます。
歌川国芳「里すゞねぐらの仮宿」名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
歌川芳盛「浅茅ケ原一ツ家之古図 師匠の筆意に習らつて」名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
展覧会の最後に、弟子たちがそれぞれの個性をどう展開させて時代に挑んでいったのか、その活躍ぶりをご覧いただきます。
落合芳幾「東京日々新聞 七百四十八号」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
月岡芳年「東名所墨田川梅若之古事」
名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)
歌川国芳「浮世よしづくし」
名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
あなたの「好き」は何ですか?本展の核となるコレクションを形成した高木繁氏と尾崎久弥氏は、いずれも大正から収集をはじめ、まだ評価が低かった国芳らの魅力を普及するよう力を尽くしています。 他の評価に左右されることなく自分の「好き」をつらぬいた両氏の収集熱をご紹介します。
高木繁氏
高木繁
明治14年から昭和21年(1881から1946)
東京都出身。京都帝国大学福岡医科大学(現在の九州大学医学部)泌尿器科初代教授。大正10年(1921)頃から浮世絵を収集をはじめる。とりわけ国芳の武者絵と戯画を愛す。平成12年(2000)、コレクション231件534点が名古屋市博物館へ寄贈された。
尾崎久弥氏
尾崎久弥
明治23年から昭和47年(1890から1972)
名古屋市出身。青年期より、楓水の号で短歌、小説の創作を行う。国語教師として勤務してからも教鞭をとるかたわら、江戸文学の研究に邁進する。資料の収集は大正3年(1914)頃からはじめたという。とりわけ溪斎英泉らの美人画と江戸文学を愛す。 没後、名古屋市蓬左文庫へ寄贈されたコレクションのうち、浮世絵作品1,937件2,836点が昭和60年(1985)に名古屋市博物館へ移管された。
講演会などで、手話通訳・要約筆記など特別なサポートを必要とする方は、当日の2週間前までに博物館(電話:052-853-2655 ファックス:052-853-3636)にご相談ください。
日時:2月24日(日曜)13時30分開演(開場は13時00分)
講師:神谷 浩(当館副館長)
会場:地下1階講堂(定員220名)
参加費:無料(ただし本展観覧券が必要。観覧済半券も可)
※聴講には本展の観覧券(観覧済み半券可)、聴講整理券が必要です。聴講整理券は、当日9時30分より、展覧会場入口にて先着順に配布します(観覧券1枚につき1枚限り)。
日時:3月2日(土曜)13時30分開演(開場は13時00分)
出演:講談師 旭堂鱗林(きょくどう りんりん)
落語家 雷門幸福(かみなりもん こうふく)
会場:地下1階講堂(定員220名)
参加費:無料(ただし本展観覧券が必要。観覧済半券も可)
※聴講には本展の観覧券(観覧済み半券可)、聴講整理券が必要です。聴講整理券は、当日9時30分より、展覧会場入口にて先着順に配布します(観覧券1枚につき1枚限り)。
講談師 旭堂鱗林
落語家 雷門幸福
夜の博物館で浮世絵を鑑賞しませんか?「血みどろ絵」を中心に本展の見どころを学芸員が徹底解説します。夜ならではの楽しみ方も。
日時:①3月3日(日曜)17時00分から19時00分(受付開始は16時30分)
②3月21日(木曜・祝日)17時00分から19時00分(受付開始は16時30分)
講師:津田卓子(当館学芸員)
会場:1階展示説明室および展覧会会場
参加費:事前に夜学チケット2,000円(特典グッズ付観覧券)をローソンチケット(Lコード43699)にてご購入下さい。11月1日(木曜)より各日先着100枚限定販売。
※完売しました
日時:①3月8日(金曜)13時30分開演(開場は13時00分)
②3月16日(土曜) 13時30分開演(開場は13時00分)
講師:津田卓子(当館学芸員)
会場:1階展示説明室(当日先着100名)
聴講無料。