特別展 画僧 月僊
月僊「僧形立像(伝自画像)」三重県立美術館蔵
名古屋生まれの奇僧 絵筆で人々を救う。
江戸時代も中ごろを過ぎると、新来の中国や西洋の文化に刺激を受け、多くの画家が新しい様式に挑戦し、魅力的な作品を生み出していきました。名古屋生まれの画僧(絵を描く僧侶のこと)、月僊(げっせん、1741-1809)もその一人で、江戸と京都で流行の様式を学びながら、独自の画風を確立、伊勢・京都を中心に全国で人気を博しました。
月僊は、名古屋の味噌商の家に生まれ、七歳で仏門に入り、浄土宗の僧となります。江戸の増上寺にて修業、かたわら桜井雪館(さくらいせっかん、1715-90)に絵を学びました。のちに上洛、知恩院門主の知遇を受け、画家としては円山応挙(まるやまおうきょ、1733-95)の影響を受けます。安永3年(1774)、伊勢山田にある寂照寺の住職となった後は、絵を売って蓄えた財を元手に、寺の再興に努め、貧民救済にも尽力しました。今回の展覧会では、愛嬌に満ちたユニークな仙人の絵を中心に、仏画や花鳥画、山水画もあわせて画業全体を振り返ります。また僧侶として社会福祉に尽くしたその人となりを紹介します。
展覧会名称 | 画僧 月僊≪げっせん≫ |
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会期 | 平成30年(2018)12月15日(土曜)から平成31年(2019)1月27日(日曜) ※一部の作品は、会期中に展示替えをします。(前期12月15日から1月6日、後期1月8日から1月27日) |
休館日 | 毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日)、第4火曜日、年末年始(12月29日から1月3日) ※12月17日[月曜]、12月25日[火曜]、12月29日[土曜]から1月3日[木曜]、1月7日[月曜]、1月15日[火曜]、1月21日[月曜]、1月22日[火曜] |
開館時間 | 9時30分から17時(入場は16時30分まで) |
会場 |
名古屋市博物館 1階 特別展示室・部門展示室 |
主催 |
名古屋市博物館、中日新聞社、日本経済新聞社、テレビ愛知 |
協力 |
株式会社 まるや八丁味噌󠄀 |
助成 |
公益財団法人 花王芸術・科学財団󠄀 |
一般 | 高大生 | 小中生 |
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1,300円(1,100円) |
900円(700円) |
500円(300円) |
月僊は画家として、江戸では桜井雪館に学び、京都では円山応挙に大きな影響を受けました。当時の画壇は、幕府の御用絵師、狩野派の画風が批判され、一方では古い伝統を見直し、一方では長崎を通じて流入する明清時代の中国絵画を取り入れることで、新たな表現が生まれていました。本章では、雪館や応挙の作品とともに若き月僊の作品を紹介し、独自の個性を獲得する過程を見ていきます。
桜井雪館「寿老人・布袋図」 水戸市立博物館蔵
円山応挙「布袋図」 名古屋市博物館蔵
月僊「西王母図」 三重県立美術館蔵
月僊「東方朔図」 三重県立美術館蔵
月僊は浄土宗の画僧として、仏事や信仰のための仏画を多く描いています。釈迦の涅槃を主題とした仏涅槃図、浄土宗の宗祖、法然の肖像である御影(みえい)、中国の浄土教の祖師図(そしず)、また達磨など禅宗の題材も手がけました。図様は伝統的な型を引き継ぐものが多数ですが、諸仏の体躯や顔貌の表現、服飾の色使いには月僊の個性が発揮されています。旧来の仏画とは異なる清新な表現をお楽しみください。
月僊「法然上人像」 知恩院蔵
(前期展示:12月15日から1月6日)
月僊「仏涅槃図」 名古屋市博物館蔵
月僊「釈尊図」 個人蔵
月僊「朱衣達磨図」 個人蔵
天明4年(1784)、月僊は中国の仙人たちを紹介するガイドブック『列仙図賛』を出版します。この絵本は、個性的な仙人たちの表現が話題を呼び、画壇の注目を浴びるきっかけとなりました。やがて仙人たちは月僊画の代名詞となります。本章では、中国の仙人や歴史上の偉人を中心とした人物画を取り上げ、滑稽味と写実的な生々しさを合わせ持つ月僊人物の魅力を紹介します。
月僊『列仙図賛』 名古屋市博物館蔵
月僊「関羽図」 名古屋市博物館蔵
月僊「鍾馗図」 水戸市立博物館蔵
月僊「恵比寿図」 三重県立美術館蔵
月僊「西王母図」 個人蔵
月僊「黄石公・張良図」 隨念寺蔵
人里離れた静かな環境で遊び暮らすことは、古来より知識人の理想とするところでした。王羲之(おうぎし)が蘭亭で催した曲水の宴など、文人たちが豊かな自然を楽しむ様子は、理想郷の光景として人気を博し、月僊も同様の主題をたくさん描いています。本章では、山水画を中心に、花鳥や動物を描いた作品を加え、多様な画題を器用に描きこなした人気絵師、月僊の引き出しの多さを実感していただきます。
月僊「秋景山水図」 個人蔵
月僊「木曽路図」 個人蔵
月僊「巌上錦鶏図」 寂照寺蔵
安永3年(1774)、伊勢寂照寺の住職となった月僊は、お伊勢参りで賑わう環境を活かし、多様な参拝客と交流して自身の画名を高めました。生活を律して蓄えた画料は、伽藍の再興、さらには貧民救済など社会福祉に使われたと伝わります。本章では、伊勢の地にて様々な人々と交流しながら、影響を与え合う様子を紹介します。また、貧者や障害者など社会的弱者に温かいまなざしを投げかける仏教者、月僊のすがたを作品から窺います。
月僊「百盲図巻」部分 知恩院蔵
月僊「仏涅槃図」 寂照寺蔵
講演会などで、手話通訳・要約筆記など特別なサポートを必要とする方は、当日の2週間前までに博物館(電話:052-853-2655 ファックス:052-853-3636)にご相談ください。
日時|12月22日(土曜)13時30分から15時(開場13時)
講師|山口泰弘氏(三重大学教授)
博物館地下1階講堂にて、当日先着220名、聴講無料。
※聴講には本展の観覧券(観覧済み半券可)、聴講整理券が必要です。聴講整理券は、当日9時30分より、展示会場入口にて先着順に配布します(観覧券1枚につき1枚限り)。
日時|12月24日(月曜・休日)13時30分から14時30分(開場13時)
講師|横尾拓真(当館学芸員)
博物館1階展示説明室にて、当日先着100名、聴講無料
日時|1月4日(金曜)、5日(土曜)、6日(日曜)13時から30分程度
講師|横尾拓真(当館学芸員)
※参加には、本展の当日有効の観覧券が必要です。展示会場入口付近にお集まりください。
月僊は、三河国岡崎の大田弥次右衛門が製造する味噌󠄀が大好物でした。大田家の伝統を引き継ぐ株式会社 まるや八丁味噌󠄀の協力により、年間1桶限定醸造の「三河産大豆と神水(かんずい)仕込みの八丁味噌󠄀」を抽選で30名様にプレゼントします。
期間|12月22日(土曜)、23日(日曜)、24日(月曜・休日)
対象|当日の展覧会入場者
方法|展示会場入口にてくじ引きを行います。各日10名当選。