展示

常設展フリールーム

機織り(はたおり)の手間ひま

  • 6月25日(水)~8月24日(日)

 機織りは、機(はた:写真1)にかけた長いたて糸に、舟のような形の「杼(ひ)」という道具を使ってよこ糸を通して、布を織ることをいいます。今では機織りをする機会はあまりありませんが、『ツルの恩返し』などの昔ばなしに機織りをしている場面が登場するので、実際見たこと・やったことのない人でも、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。何十回、何百回と一本一本、糸を通して布を織りあげていくのは、考えただけでなかなかたいへんです。

 ただ、機織りをする(布を織りあげる)には、たて糸とよこ糸を入れる作業の前に、いくつかの工程を経なければなりません。簡単にいうと下のような工程があります。

①整経(せいけい)…糸の束から必要な長さ分だけ、たて糸を用意する
②筬(おさ)通し…筬(よこ糸を打ち込む道具)にたて糸を通す<写真2>
③チキリ巻き…たて糸をチキリという棒に巻く
④かざりがけ…たて糸を上下に分けるための糸をかける
⑤機あげ…機にたて糸を設置する
⑥織る…たて糸によこ糸を通して布を織る

 『ツルの恩返し』でツルが機織りしている場面は、⑥にあたります。機織りをするには、いくつもの作業が必要で、それらは細かく正確な技を必要とします。こうして手間ひまかけて布は織られていたので、昔は、着物になってもやぶれたら繕(つくろ)ったり、子どもの着物に仕立て直したり、また端切れになっても小物などを作ったり、最終的には雑巾(ぞうきん)となるまで使い尽くしていきました。

 今回のフリールームでは、機織りの作業を道具とともに一つ一つたどり、布を織る手間ひまを紹介します。機織りの工程を通して、昔の人が持っていたであろう布を大切にする心に触れてみましょう。

機(はた)

写真1:機(はた)

筬(おさ)通しの様子。細かい筬のすきまに、たて糸を順番に通していく

写真2:筬(おさ)通しの様子。
細かい筬のすきまに、たて糸を順番に通していく