伊勢湾台風
昭和34年(1959)9月26日に東海地方を襲った伊勢湾台風は、日本社会に大きな影響を及ぼし、当時からマスコミや行政、地元住民などによってその記憶が伝えられてきました。しかし、人知れず残されている伊勢湾台風資料が世の中にはまだまだ存在しています。伊勢湾台風から59年の歳月が経ち、この先も災害の経験を後世に伝えていく上では、当時を経験した被災者の記憶はもちろん、このような資料の調査・収集が欠かせません。 現在、名古屋市博物館では、2019年の伊勢湾台風60年を前に伊勢湾台風資料の収集と調査研究活動を推進しています。今回の展示では、その成果を速報的に紹介しつつ、さらなる情報提供を呼びかけます。
小学生が体験談を書き綴った作文集や、台風ニュースを聞いたラジオ、支援物資が入っていたドラム缶など、市民たちひとりひとりの経験を伝える伊勢湾台風資料を紹介します。
台風ニュースを聴いたラジオ 館蔵(加藤茂夫氏寄贈)
支援物資の入っていたドラム缶 館蔵(福岡右三氏寄贈)
名古屋市南部に工場を構える大同製鋼(現・大同特殊鋼)は、伊勢湾台風によって会社の施設だけでなく近隣に居住する従業員たちも大きな被害を受けました。「会社の復興は、従業員の精神的、物質的安定を第一条件とする」という方針の下、被災従業員の生活再建を支援した具体的な動きを、当時同社内に設置された対策本部の資料から追います。
大同製鋼被災従業員への連絡
大同特殊鋼株式会社所蔵
伊勢湾台風の被災状況を記録した写真は、実は数多く存在しています。今回の展示では、これまで世に知られていなかった写真を中心に、具体的な撮影地点を特定しながら、被災地の様子を紹介します。その中には、当時まだ珍しかったカラーフィルムで撮影された写真も含まれます。
イカダの連絡船(南区柴田本通) 館蔵(山本せつ子氏寄贈)
伊勢湾台風被害写真(熱田区一番町一丁目交差点) 個人蔵
内田橋の通行止め表示(広報誌『愛知トヨタ』取材写真より)
株式会社ATグループ所蔵
伊勢湾台風被害写真(南区大同高校) 山田芳撮影 個人蔵