高蔵遺跡
営業再開から5月24日(日曜)
熱田区高蔵遺跡は弥生時代の大集落、古墳時代の古墳群として全国的にも知られた遺跡です。今回の展示では、最新の発掘調査や博物館が新しく収集した資料などを中心にその歴史の一端を紹介します。
共催:名古屋市教育委員会文化財保護室
高蔵遺跡は、熱田区の高蔵公園を含む南北約800メートル、東西約500メートルの範囲に広がる大規模な遺跡です。名古屋市中心部から南に延びる熱田台地上に位置し、現在の標高で7メートルから9メートルほどで、時代による海岸線の変化の中でも比較的安定した土地であったと考えられます。旧石器・縄文時代の遺物が出土し、生活の痕跡は明らかでありませんが、人々が活動していました。
弥生時代には、時期によって変動はありますが、集落が営まれ、住居や墓が多く造られました。周囲に防御を目的の一つとする濠がめぐらされる環濠集落であり、この地域の中心的な集落でした。貝塚が形成され、中国製の鏡がもたらされるなど、海を基盤とした環境で、遠隔地との交流もあったようです。
また、この地域では、弥生時代後期の赤く塗られた特徴ある土器をパレススタイル(宮廷式)と呼んでいます。明治時代に高蔵遺跡で発見された土器を当時の研究者浜田耕作が名付けたものです。高蔵遺跡はパレススタイル土器「発祥の地」としても注目される遺跡なのです。
パレススタイル小型壺
熱田区高蔵遺跡出土
館蔵
古墳時代の高蔵遺跡では、5世紀から6世紀前半頃に方墳が多数築かれ、同じ頃、付近では前方後円墳の断夫山古墳や白鳥古墳など大型古墳も築かれました。
また、6世紀後半から7世紀には、横穴式石室をもつ円墳が造られ、高蔵古墳群を形成しています。大豪族とそれに連なる人々が葬られたのでしょう。
高蔵遺跡は、海に臨む地で人々が連綿と活動した地であったのです。
高蔵1号墳出土資料
館蔵
高蔵公園の再整備事業に伴い平成30年(2018)に第60次発掘調査が実施されました。調査では、集落の周りを巡っていた弥生時代前期の環濠が確認され、多数の弥生土器が出土しました。また、高蔵5号墳は断夫山古墳と同時期に造られたことが判明しました。他にも、新たな古墳が発見されるなど、様々な成果が得られました。
土偶
熱田区高蔵遺跡出土
名古屋市教育委員会所蔵