展示

常設展フリールーム

更紗(さらさ)

令和元年10月22日(祝日・火曜)~11月24日(日曜)

 更紗(さらさ)とは近世初頭(17世紀)に日本に渡ってきた木綿の模様染めの総称です。おもに手描きや木版・銅版を使って、草花・鳥獣などが描かれています。インドをはじめとして、ジャワ・タイ・ヨーロッパなどで製作されました。
 インドで作られたインド更紗は、英語で「チンツ」と呼ばれ、更紗の中でももっとも古くから行われ、各地に輸出されていました。茜を使った鮮やかな赤色が特徴的で、媒染液であらかじめ手描きや木版で模様をほどこすので、染めると何色も同時に色づけることができました。

さまざまな更紗の裂が張り合わされた折本

写真1 更紗裂帖 松坂屋コレクション

 16世紀にはヨーロッパ各地に輸出され、異国情緒あふれるデザインと鮮やかな色に人々は惹き付けられ、人気となりました。あまりの人気のため、ヨーロッパの織物業が大打撃を受け、輸入が禁止になるほどでした。この更紗は近世に渡ってきた日本でもたいへん人気となりました。当時の日本では金襴(読み:きんらん)などの重厚な織物や鹿の子絞りや刺繍(読み:ししゅう)をほどこした小袖などがありましたが、それとは趣の違う更紗が新鮮にうつったことでしょう。そのためか、小さなはぎれも大切に残されています。模様に注目すると、中には扇子をかたどったようなものが見られます。(写真2)インド更紗は輸出先の嗜好に合わせたデザインを製作されており、これもその一種かもしれません。

扇子をかたどった模様の更紗

写真2 更紗裂(部分) 松坂屋コレクション

 更紗は次第に輸出先でも根付き、その国で製作されるようになります。ヨーロッパでは銅版を用いて、日本では型紙を用いて、更紗の模様を表わすものができてきました。このように更紗はさまざまな地域でそれぞれの発展を遂げています。
 今回の展示では、百貨店の松坂屋が呉服デザインのために集めた染織コレクション「松坂屋コレクション」の中から、さまざまな更紗をご紹介します。更紗の模様は、今でも着物や帯に取り入れられていますが、よく見るとワンピースやポーチなど洋服・小物類にも使われています。そのため、「更紗」という言葉を聞いたことがなかった人も、展示を見ればきっと親しみを感じるでしょう。エキゾチックでかわいらしい更紗をぜひご堪能ください。