展示

常設展テーマ10 近世尾張の文化

御歌所(おうたどころ)の歌人の書

令和3年4月28日(水曜)から6月20日(日曜)

 御歌所とは、明治21年(1888)、宮内庁内に設立された皇族の作歌や歌会始など和歌に関する事務を取り仕切る部署のことです。初代所長の高崎正風(たかさきまさかぜ)や入江為守(いりえためもり)、千葉胤明(ちばたねあき)ら出仕している歌人の多くは、『万葉集』や『古今集』などの歌風を重んじていました。特に名古屋は、古今集を重んじる歌風が流行していたため、植松有経(うえまつありつね)・間島冬道(まじまふゆみち)といった名古屋ゆかりの歌人たちは御歌所で重用されるようになりました。
 また、彼らは、国民に和歌の文化を普及させるべく、各地で作歌指導を行いつつ、『万葉集』や『古今集』の名筆を紹介していました。
 特に大口周魚(おおぐちしゅうぎょ)・岡山高蔭(おかやまたかかげ)・阪正臣(ばんまさおみ)といった名古屋にゆかりのある歌人たちは、名筆の研究にも力をそそぎ、書家としても活躍しています。
今回は、名古屋ゆかりの御歌所の歌人の書作品から、彼らの業績と当時の書道史研究の様相を紹介します。

松の絵の周囲に書が寄せられている写真。

「松図并賛」(館蔵)

植松有経の書の写真。「山雪 ささなみの ひこのねにのみみしゆきの 山のはことに ふれるけさかな 有経」と書かれている。

和歌色紙(植松有経)館蔵