展示

常設展フリールーム

森川コレクション

  • 10月28日(水)~12月20日(日)

 「森川コレクション」とは、近代の当地方を代表する茶人の一人、森川如春庵(にょしゅんあん)により収集され、 昭和42、43年に名古屋市に寄贈された茶道具等188件を指します。

 森川如春庵は生涯を趣味の茶の湯や古美術品の研究に費やした人として知られています。如春庵は強運の持ち主。次から次へと名品の数々を手に入れていきます。その中には現在、国宝や重要文化財に指定されているものも、数多く含まれています。こうした如春庵の卓越した鑑識眼や名品収集の様子を聞き知った茶人たちの間に、次第に如春庵の名が知られるようになり、やがて「千利休以来の大茶人」とまで呼ばれた大茶人であり、三井財閥形成に尽力した益田鈍翁の耳にまで届くこととなりました。如春庵は、鈍翁やその取り巻き達に「我が儘庵」と呼ばれて可愛がられ、若くして全国にその名を知られる茶人となりました。

 近代の日本を代表する茶人達の、茶道具を介したおもしろおかしいエピソードの中には、たびたび如春庵が登場し、重要な役割を演じています。敬愛して止まなかった鈍翁との、愉快きわまりない、親密な関係を伝えるものも、いろいろ含まれています。

 このたび、今は解体して保管されている、如春庵の「田舎家」を、名古屋市博物館の敷地内に再現する計画があります。

 数寄屋造りの茶室ではなく、農家を転用した「田舎家」での茶を始めたのは益田鈍翁であったと、如春庵は、自著『田舎家の茶』に書いています。鈍翁が始めて以来、当時の数寄者、茶人たちが、先を争うように田舎家を移築し、茶室として構えるようになりました。如春庵が名古屋市覚王山(千種区)の別邸に移築した田舎家は、他の田舎家に比べ、その規模も時代も格別であったのでしょう、昭和3年(1928)12月19日、初めて如春庵の田舎家に招かれた鈍翁は、一も二もなく感服して、芳名録に如春庵を大庄屋とし、自らを「小作人」と書いているほどです。

重要文化財 黒楽茶碗 銘「時雨(しぐれ)」

茶飯釜(ちゃはんがま)

重要文化財 黒楽茶碗 銘「時雨(しぐれ)」
本阿弥光悦作 江戸時代前期
名古屋市博物館蔵 森川コレクション

森川如春庵がわずか16歳のときに手に入れたと伝えられます。森川コレクションの第一号であり、最後まで手放さなかったものでもあります。11月3日(火・祝)より12月6日(日)まで期間限定で展示します。

茶飯釜(ちゃはんがま)
室町時代 永正8年(1511)
名古屋市博物館蔵 森川コレクション

羽部に「永正八年」「三月日」、蓋に「渇来茶」「飢来飯」の陽鋳銘。
昭和4年(1929)3月31日、田舎家に茶友を招いて開かれた茶会に、「三尺四方の大石炉に」吊されて使われていました。

 今回は、森川コレクションや関連資料の中から、当時「天下一」とまで称された如春庵自慢の「田舎家」で開かれた茶会に使用された道具類を中心に紹介します。