展示

名古屋のまつりと郷土玩具

名古屋のまつりと郷土玩具

令和元年8月28日(水曜)~10月20日(日曜)

 各地で古くから作られ、地域色のある玩具のことを「郷土玩具」と呼ぶことがあります。郷土玩具は主に木や紙、粘土など自然の素材で作られ、具体的には土人形や張り子、縁起物や護符など様々なものが含まれます。信仰や祭礼を題材としたものも多く、今回の展示では名古屋の山車まつりに関係する郷土玩具を紹介します。

山車まつりの郷土玩具

 土人形「東照宮祭礼の山車」は、名古屋東照宮祭礼に登場した九両の山車を題材としています。江戸時代に始まった東照宮祭礼は名古屋を代表するまつりで、城下町の各町内から出された山車には、特徴的なからくり人形が乗っていました。糸からくり「牛若・弁慶」は、東照宮祭礼の山車のうち「橋弁慶車」のからくり人形を題材としています。糸からくりのしくみで、牛若はくるくると回り、弁慶は手に持ったなぎなたを振りかざします。

ねんどをやいてつくっただしのおもちゃ

土人形「東照宮祭礼の山車」 館蔵

いとでうごかすからくりおもちゃ

糸からくり「牛若・弁慶」 館蔵

高まる郷土玩具熱

 郷土玩具を愛好する熱は、特に明治時代以降に高まりました。その背景には、急激に社会が変化する中で伝統的な事物を振り返り、見つめ直そうとする風潮があったといわれています。
 郷土玩具熱が高まる中で、郷土玩具に関する印刷物も徐々に発行されるようになりました。一風変わった印刷物として、相撲の番付風に各地の郷土玩具を並べた郷土玩具番付があります。昭和2年に名古屋の「大供玩具研究会」を勧進元として発行された「大供玩具大番附」では、「牛若弁慶人形」は西の関脇、「東照宮祭山車」は西の前頭と順位づけられています。
 このような印刷物を見て、全国各地の郷土玩具を収集し比べることで、郷土玩具を通じて各地の祭礼や風習を感じるという楽しみもあったと考えられます。今回の展示では、明治時代以降の名古屋のまつりと郷土玩具をとりまく状況にも注目します。

きょうどがんぐのばんづけひょう

大供玩具大番附 館蔵