展示

常設展テーマ10

七福神

5月28日(水)~7月6日(日)

七福神の乗った宝船

宝船置物 正木惣三郎作

 人々に様々な幸運をもたらす、七つの神仏をあつめた神のユニット「七福神」。比叡山の大黒天、鞍馬寺の毘沙門天、西宮神社の恵比寿神など、もともと個別に信仰を集めていた福の神たちがこのユニットに編成されたのは室町時代の京都周辺でのことだと考えられています。七福神というユニットが編成された理由は、様々な災難や幸福を表す「七難七福」という言葉に対応する守護神を求めたという説や、「竹林の七賢」という中国の歴史上の哲人ユニットを描いた絵のパロディだという説もあります。江戸時代に入ると、七福神信仰は全国的に広がってゆきますが、江戸時代後期になると、敬い、祈りを捧げる存在から、愛すべき「ゆるキャラ」へと七福神の性格が変化してゆきます。単独で絵や彫刻に造形されるときは厳かな、功徳ありげな姿で表現されますが、いざメンバーがそろうと宴会を始めるわ、相撲をとるわ、吉原に遊びに行くわのおおさわぎ。ソロ活動では本格的な俳優やモデルとして活動し、ユニットでは愉快なコントを演じる、現代のアイドルグループのようですね。
同時期開催中の特別展「幽霊・妖怪画大全集」では、恐れ、忌むべき対象であるはずの怪異がキャラクターとして楽しまれる様子を紹介しています。今回の特集展示では、これと対照的に、尊ばれるべき神仏がキャラクターとなった姿を、江戸時代の画家の作品を中心に展示します。幽霊画の元祖とされる円山応挙や、名僧白隠和尚の描く堂々たる布袋図、名古屋の陶芸家正木惣三郎の作り出すミクロの陶人形七福神などなど、選りすぐりの名品をとりそろえ、妖怪を圧倒する「めでたさ」で皆様をお待ちしています。

おうきょのほてい

布袋図 円山応挙筆 5/28-6/15展示

はくいんのほてい

布袋図 白隠慧鶴筆 6/17-7/6展示