展示

常設展テーマ10

尾張・三河の画僧

  • 平成30年12月11日(火曜)から平成31年1月20日(日曜)まで

 画僧(がそう)とは、僧侶でありながら絵を得意とする人物のことを指します。とりわけ中世以降の水墨画を能くした禅僧を言うことが多く、朝廷や寺院に仕え、僧籍にありながら職業的に絵画制作をおこなった画工・絵仏師(えぶっし)とは区別されます。基本的には僧侶としての活動が主であり、兼業的に仏画の、または余技的に世俗画の制作を行いました。ただし画僧と呼ばれる僧侶の性格も様々で、明兆や雪舟のように、ほとんど職業画人として活動した人物もいます。

 画僧による作画の目的は多岐に亙ります。法要で使用する仏画の制作、信仰の普及・拡大のための制作、生活や宗教活動の資金を得るための制作、自己の楽しみのための制作、等々。以上の目的は独立したものではなく、それぞれが重なり合い、関係し合うものでもありました。今回のテーマ展では、江戸時代の尾張・三河地方で活動した四人の画僧、瑞岡珍牛(ずいこうちんぎゅう、1743から1822)、豪潮寛海(ごうちょうかんかい、1749から1835)、横井金谷(よこいきんこく、1761から1832)、風外本高(ふうがいほんこう、1779から1847)の作品を取り上げ、それぞれの作画活動の背景を探りつつ、個性豊かな表現を紹介していきます。

香炉の煙から出現した16人の羅漢

豪潮寛海「十六羅漢瑞応出現図」館蔵

 誕生後に天地を指差す釈迦

風外本高「灌仏図」個人蔵

 夏の山居で風景を楽しむ人物

横井金谷「夏景山水図」館蔵