尾張の幕末維新
幕末の尾張藩をリードしたのは、前藩主徳川慶勝(1824~1883、藩主在任は1849~58)でした。文久年間(1861~63)には、朝廷・幕府・諸藩間の調整に努めました。元治元年(1864)、慶勝は幕府から第一次長州征伐の総督に任じられました。しかし長州藩の処分をめぐり幕府と対立し、慶応3年(1867)の王政復古に参加して、新政府の議定職となりました。朝幕間における慶勝の微妙な立場のため、翌年1月青松葉事件が起こりました。これは尾張藩の佐幕派と称される藩士14名を処刑した事件で、不可解な点も多いです。その後尾張藩は戊辰戦争の政府軍に参加し、北越(越後)や奥羽まで出兵しました。
今回の展示では、幕末維新期に活躍した藩主・藩士たちに関わる資料を中心に、尾張藩の明治維新をご紹介します。
乱髪形兜 江戸時代 館蔵
第一次長州征伐に参加した尾張藩士・堀田重正着用と伝わる。
長州征伐首実検之図 元治元年(1864) 館蔵
官軍袖印 慶応4年(1868) 館蔵
戊辰戦争で政府軍に参加した尾張藩兵が袖に付けた印。