コレクション

てらにしじろうしゃしんしりょう
寺西二郎写真資料

 ここに紹介する写真は名古屋市内やその周辺地域の日常の生活、風景が撮られたものである。時代は昭和30年~40年代、戦後の荒廃から10数年を経て、名古屋の街に活気と明るさが戻りつつあった頃だ。撮影者、寺西二郎氏は悲惨な戦争の後、戦後復興を見事短期間に成し遂げた昭和という時代を、生まれ育った名古屋を、カメラと共に見続け撮り続けようとした。寺西氏のその時々の「今」を伝えようとした写真群は、平成15年(2003)に名古屋市博物館に寄贈され、数十年の時を経た見方によって新たな展開を見る。門前市をなす東別院の人出、市電と市バスの交錯、街に集う人々のまなざし、一見何の変哲もない日常の風景である。この時代を知る人々にとっては、そのざわめき、通り過ぎる轟音と排ガスのにおい、遠い記憶の彼方からよみがえる当時の様々な思い出。若い世代にとっては、町並みの驚愕の変貌、激しい時代の変わり様に目を見張ることだろう。世代をこえて、これらの写真は何を伝えてくれるのか。

 50年の時を経て驚くような写真ばかりである。

昭和38年 中区車道付近

昭和38年 中区車道付近

昭和40年 中区東別院

昭和40年 中区東別院

昭和43年 名古屋駅前

昭和43年 名古屋駅前

昭和43年 東山動物園前

昭和43年 東山動物園前

 寺西二郎氏は昭和4年(1929)名古屋市西区生れ。幼少より写真に親しみ、数十年にわたって名古屋とその周辺の街や、そこに暮らす人々を撮り続けた。全日本写真連盟中部本部委員長などを歴任。

 名古屋市博物館は寺西氏の撮影した昭和30~40年代の写真約1万カットを所蔵している。

(杉浦秀昭)

※本資料は常設展示しておりません。あしからずご了承ください。