展示

過去の展覧会の紹介

この展覧会はすでに終了しています。会期は前年度以前の日付です。

特別展「奥三河のくらしと花祭・田楽」

津具(つぐ)の花祭 榊鬼(さかきおに)(設楽町)

津具(つぐ)の花祭 榊鬼(さかきおに)(設楽町)

 愛知県の新城設楽(しんしろしたら)地区を奥三河と言います。奥三河には、鬼の舞で知られる花祭(はなまつり)や、豊作を願って行われた田楽(でんがく)など、日本を代表する民俗芸能がいくつもあります。本展では、「花祭」、「三河の田楽」(いずれも重要無形民俗文化財)、「津具の山樵用具(さんしょうようぐ)および加工品」(重要有形民俗文化財)を中心に、山村の民俗文化と森林の大切さを見つめます。山村は、木材や食糧、燃料などの供給、水源の保護、土砂災害の防止、さらには、生物多様性や地球環境の保全の上でも大切な役割を果たしてきました。あらためて山村を見つめることは、現代の日本人が避けて通ることのできない課題といわなければなりません。
 本展をきっかけに、奥三河を訪ねてみませんか。

会期:平成25年11月2日(土)~12月15日(日)

休館日 : 毎週月曜日(11/4開館)と11/5(火)、26(火)

開館時間 : 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)

主催 : 名古屋市博物館、愛知県教育委員会

協力 : 花祭の未来を考える実行委員会、名古屋大学大学院文学研究科、育産業株式会社、人形劇団むすび座、日本キャタピラー

後援 : 設楽町教育委員会、東栄町教育委員会、豊根村教育委員会、新城市教育委員会

観覧料

一般 600円
高大生 400円
中学生以下 無料

・20名以上の団体は100円引き

Ⅰ山のくらしと民具

(1)山のくらしと民具

津具の山樵用具(さんしょうようぐ)および加工品

津具の山樵用具(さんしょうようぐ)および加工品
(重要有形民俗文化財 津具民俗資料館)

 奥三河に広く見られる民具の中から、山仕事の民具、農具、運搬具などを紹介します。設楽町の「津具の山樵用具及び加工品」(重要有形民俗文化財)は奥三河の山仕事を凝縮したかのようです。山林といえば木材のみに目が行きがちですが、竹もまたさまざまに利用されてきました。とりわけ、田峯歌舞伎(だみねかぶき)の小屋掛技術はすばらしく、竹材利用の可能性を示すものとして紹介しておきたいもののひとつです。このほか、山間部の稲作や輸送手段としての馬など、奥三河の伝統的な生業に関わる資料を紹介します。

田峯歌舞伎の小屋掛技術(設楽町)

田峯歌舞伎の小屋掛技術(設楽町)

(2)年中行事と田峯田楽

布川(ふかわ)のしかうち神事のシカ(東栄町)

布川(ふかわ)のしかうち神事のシカ(東栄町)

 年中行事、そのなかでも「しかうち神事」などの正月行事と、豊作を願って行われた民俗芸能、田楽(でんがく)をとりあげます。田楽は、田植えを前にして豊作を願って行われた予祝(よしゅく)の行事が、田を離れて行われるようになった民俗芸能です。愛知県では、鳳来寺田楽(新城市)、黒沢田楽(新城市)、田峯田楽(設楽町)が「三河田楽」(重要無形民俗文化財)として知られ、1~2月に行われています。田峯田楽の登場人物や衣装などを中心に、田楽の姿や人々の願いを紹介します。

田峯田楽 夜田楽 鳥追い(設楽町)

田峯田楽 夜田楽 鳥追い(設楽町)

Ⅱ奥三河の花祭

 鬼の舞でよく知られている花祭は、もともと霜月(11月)の湯立神楽(ゆたてかぐら)でした。神々や自然の力が衰弱すると考えられた霜月に、神々と人々の生命力の再生を願っておこなわれるものです。現在では11月から3月にかけて設楽町・東栄町・豊根村の計15カ所で行われています。「まいど」と呼ばれる土間の中央に釜をすえ、沸かした湯を神々に献じ、人々にも振りかけて祓い清める神事を中心に、さまざまな行事がおこなわれます。

布川の花祭 湯ばやし(東栄町)

布川の花祭 湯ばやし(東栄町)

(1)花祭

 花祭の会場である「まいど」を飾る、「ざぜち」「切り草」と呼ばれる切り紙を紹介します。これらは神々の依り来たるところでもあると思われますが、紙の造形美の集約であるともいえます。おびただしい紙が使用されることにも驚かされます。

(2)布川の花祭

 東栄町布川(ふかわ)の花祭について、花祭の神事を司る家が代々にわたって集成した資料により、神事に重きをおいて運営される花祭の姿を紹介し、花祭の本来の意味を振り返ります。

(3)津具の花祭

 設楽町津具(つぐ)の花祭について、花祭当日の時間の推移を追いながら、展示しています。

(4)花祭を伝える

 花祭は現在では継承の危機に直面しつつあり、地区によっては廃絶したものもあります。花祭の保存・伝承のための取り組みを紹介します。

(5)花祭が好き!

 鮮やかな赤を基調とした絵で三河の風景や民俗を描く齋藤吾朗氏が、花祭を題材に描かれた油絵や版画などを紹介します。また、人形劇団むすび座の人形劇「花祭のてんぐ」の人形を展示します。人形は手に持って記念撮影することもできます。

人形劇「花祭りのてんぐ」より「てんぐ」

人形劇「花祭りのてんぐ」より「てんぐ」

関連事業

(1)山で働く自動車がやってくる

日時:11月3日(日) 10:15 11:45 13:15 15:15 16:45 の5回 各回10分

会場:博物館駐車場(小雨決行)

内容:林業機械ハーベスタによる製材作業を実演します。迫力満点!

※11月2~4日の間ハーベスタを駐車場に展示します。

ハーベスタ

ハーベスタ(日本キャタピラー写真提供)

(2)チェーンソーアートを見よう

日時:11月3日(日)14:00~15:00

会場:博物館庭園(雨天は正面玄関下)

内容:奥三河在住若手アーティストによる実演です。チェーンソーだけで木材があんな形に!何ができるかはお楽しみ。

(3)津具の花祭実演:湯ばやし、山見鬼ほか

日時:11月4日(月)13:30~15:30

会場:博物館庭園(雨天は展示説明室)

内容:釜の湯を観衆めがけて盛大に振りかける演目です!ぬれる覚悟でごらんください。

(4)展示説明会

日時:11月8日(金)14:00~15:00

会場:博物館展示説明室 定員100名(当日先着)

内容:学芸員がくわしく説明します。

(5)布川の花祭実演:榊鬼ほか

日時:11月16日(土)14:00~15:00

会場:博物館講堂 定員220名 事前申込必要(下記参照)

内容:鬼と人との問答が見どころです。保存会長の解説つきでお楽しみを。

(6)田峯田楽の実演:夜田楽

日時:11月23日(土)13:30~15:30

会場:博物館講堂 定員220名 事前申込必要(下記参照)

内容:一年の田仕事をまねごとで行います。役者たちの丁寧な掛け合いが魅力。

(5)(6)の申込方法 

申込期間 平成25年10月7日~10月25日必着

申込方法
 
A 名古屋市電子申請サービス
https://www.e-shinsei.city.nagoya.jp/
B 往復はがき  郵便番号・住所・電話番号・参加者全員の氏名を明記し、
〒467-0806名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1 
名古屋市博物館 「布川花祭係」又は「田峯田楽係」まで
一通につき2名まで申込みできます。応募者多数の場合は抽選。

協力者主催のイベント

花祭を伝える-実演+若手伝承者サミット-

主催:花祭の未来を考える実行委員会・名古屋市博物館

総合司会:イレーネ・デワルト氏

日時・内容:11月2日(土)
 
13:00 月(つき)の花祭(東栄町)実演
14:00 若手伝承者サミット
B 〒464-8601名古屋市千種区不老町 名古屋大学内
「花祭の未来を考える実行委員会」あて
一通につき2名まで申込みできます。応募者多数の場合は抽選。

会場:博物館講堂 定員220名 事前申込必要(下記参照)

申込期間 : 平成25年9月10日~10月5日必着

申込方法
 
A メール hanamatsuri@lit.nagoya-u.ac.jp
往復はがき  郵便番号・住所・電話番号・参加者全員の氏名を明記し、
B 〒464-8601名古屋市千種区不老町 名古屋大学内
「花祭の未来を考える実行委員会」あて
一通につき2名まで申込みできます。応募者多数の場合は抽選。

奥三河物産展

主催:奥三河やらまいかプロジェクト

日時:11月23日(土)・24日(日) 10:00~16:00

会場:博物館庭園

内容:五平餅など奥三河の特産品販売です。花祭を飾る切り紙「ざぜち」作りの体験もあります。