名古屋市博物館(なごやしはくぶつかん)は、名古屋市とそのまわり、むかし「尾張」と呼ばれていた地方の歴史を調べる博物館です。昭和52年(1977)10月1日に開館しました。名古屋のみなさんが地元の歴史を知り、日本の中の名古屋、世界の中の名古屋、そして将来の名古屋がどんな街になるかを考えるお手伝いをしたいと思っています。
博物館にもいろいろありますが、名古屋市博物館のような歴史博物館は、昔の人が使った古いものを集めて、よく調べて、みなさんにお見せすることが主な仕事です。
たとえば、くらしのなかで使われた道具、農作物を作るための道具、遊びの道具、手紙や本、掛軸(かけじく)や屏風(びょうぶ)。すべて貴重な「資料」です。みなさんが、古いものを手がかりに、むかしのことを調べるときに利用してください。
寄付してもらったり、買ったりして集まった資料は、整理して、収蔵庫(しゅうぞうこ)という特別な倉庫にしまっておきます。強い光に当てたり、温度が急に変わったりすると、紙が茶色くなってしまったり、木材が割れてしまったりします。そうならないように、収蔵庫の中は、一年中同じ温度(20℃)と湿度(しつど)(60%)になっています。
資料は、今生きている私たちの世代だけが利用するのではなく、私たちの子どもの世代にも、またその子どもの世代にも、というように未来の人々もずっと利用できるよう、細やかな注意を払って大切に保管されます。
博物館では、資料のいろいろなことを調べます。いつごろのものか、だれが書いたか、どうやって使ったか。ただ、資料を保管しておくだけでなく、研究することも、博物館の大切な仕事です。よく調べておかないと、せっかく集めた資料を、どのような展覧会(てんらんかい)に使ったらよいのか、どう説明したらよいのか分かりません。
集めて調べた資料を、みんなに見せるのも、博物館の仕事です。名古屋市博物館が持っているものだけでなく、よその博物館から借りてくることもあります。名古屋の文化と比べるために、ほかの地方の歴史や、外国の文化をお知らせする展覧会も開きます。見るだけでは分からないことは、専門の先生のお話を聞く講演会(こうえんかい)を開いたり、昔のくらしを実際に体験してみるワークショップなども行います。博物館に来た人が、自分で勉強できるよう、お手伝いをするのも博物館の役割です。