調査・収集・保管
名古屋市博物館では、旧石器時代から近代までの日本の歴史・文化資料、その中でも尾張地域に関わる資料を中心に、収集し、保管し、調査を行っています。
市民からの情報提供や学芸員の調査により、開館の準備が始まった昭和48年にゼロから開始した資料の収集点数は、総数2万4千件27万点を超えました。そのうち、寄贈されたものが全体の約9割を占め、まさに市民がつくりあげた一大コレクションと言えます。指定文化財も重要文化財7件8点、重要美術品14件15点、愛知県指定文化財12件45点、名古屋市指定文化財8件153点を数えます。
これら博物館資料は、調査研究や展示、特別利用など様々な博物館活動の基礎となっています。
*件と点=上中下三巻の書物は1件3点、五客組の茶碗は1件5点というように数えています。
博物館に収蔵されている資料や、この地域に伝わる歴史資料・祭礼などについて日々調査や研究を行ない、その成果は講座などでの発表、研究紀要の発行、展覧会の開催などの形で活用しています。情報をお寄せください。
古文書を調査・整理する学芸員
考古・美術工芸・歴史(文書典籍)・民俗に関する、
・名古屋を中心とする地域の資料
・日本の歴史・文化の中で基準となる資料
を収集することを基本方針として、受贈・購入・寄託等の方法で収集しています。当館の収集活動について詳しくは近年の年報をダウンロードしてご覧ください。
当館の収集方針に沿った資料について、所有者からの寄贈を承ります。すでに同じ資料を所蔵していたり、当館では活用できないと思われる種類のものなど、お断りする場合もあります。学芸員が調査したうえで、博物館資料として受け入れることができるかを判断しますので、博物館にお持ちいただく前に、必ずご連絡ください。
市内外の寺社・団体・個人が所有する文化財を、盗難や火災などから守るとともに、展覧会などで公開・活用するため、博物館がお預かりする制度です。国宝「古事記」・国宝「漢書食貨志」・国宝「琱玉集」(名古屋市・大須観音宝生院蔵)をはじめとする貴重な資料を受託し、博物館の館蔵資料と同様に保管・活用しています。現在、名古屋市博物館では、国宝3件6点、重要文化財13件118点、ほか、県・市の指定文化財などを含む1,000件以上の資料を受託しています。
紙・絹・木などでできた日本の文化財は、温度や湿度が大きく変化するとダメージを受け、長い年月を経て劣化が進んで行くことがあります。博物館では館蔵資料・寄託資料を、資料保管に適した温湿度(温度20度、湿度58%程度)に保った6つの収蔵庫で保管しています。収蔵庫は盗難防止・防火の各種設備を供え、センサー・監視カメラにより24時間管理されています。収蔵棚の転倒防止金具や落下防止柵など地震対策も施されています。もちろん学芸員が定期的に収蔵庫の環境・資料の保存状態を点検しています。また、館内には専用の燻蒸室を備え、虫・カビから資料を守るために、必要に応じて資料の燻蒸をおこないます。
収蔵庫
博物館資料のなかには、劣化が進み傷んだ状態で寄贈されたものもあります。貴重なものでありながら、そのままでは展示・活用できないばかりか、将来的には完全に壊れてしまう可能性さえあるものもあります。名古屋市博物館では「よみがえれ文化財事業」を立ち上げ、そうした資料を修復し、後世に伝えながら活用していくために、寄附を募っています。
屏風や掛け軸はもちろん、家に伝えられてきた古文書、生活の道具や祭りの道具、地域のちょっと変わった年中行事。様々なモノが博物館の調査の対象となります。「こんな汚れたものは・・・」と思わず、まずは博物館まで連絡ください。寺社や古民家の建て替えについても情報をお寄せください。なお、古美術品の鑑定・査定は行いません。
担当:学芸課資料係 電話052-853-2655(休館日853-2658) ファックス853-8400