展示

常設展フリールーム

縄文時代とそのくらし?大曲輪遺跡?

6月28日(水曜)から8月27日(日曜)

 大曲輪[おおくるわいせき]遺跡(名古屋市瑞穂区)は現在の瑞穂公園内の山崎川沿いにある遺跡で、縄文時代前期の貝塚をはじめ、主には縄文時代前期と晩期の遺物、遺構が見つかっています。また現在はほぼ消滅していますが、山崎川を挟んで対岸には下内田[しもうちだ]貝塚と呼ばれる遺跡があり、縄文時代後期の貝塚と遺物が見つかっています。大曲輪遺跡、下内田貝塚の両遺跡はともに昭和14年(1939年)の公園整備時に発見され、小栗鉄次郎を中心とした愛知県史蹟名勝天然紀念物調査会により調査されました。特に大曲輪遺跡は多種多様な遺物の豊富な出土量から、昭和16年(1941年)には国の史跡に指定されており、名古屋市域を代表する縄文時代遺跡のひとつとなっています。

 ところが、これら2遺跡についてわかっていることは実はそこまで多くありません。遺跡調査の時期が古く、現在行われている調査に比べると記録が不十分であったこと(下内田貝塚は山崎川の河道変更により地形が消滅してしまい、再調査が不可能となってしまっている。)や、資料の管理体制が整っていなかったため、当時の出土資料の多くが戦時中に散逸してしまったことなどから、現在わかっている遺跡の姿はかなり断片的なものです。

 今回の展示では、館蔵の大曲輪遺跡・下内田貝塚出土資料(個人寄贈のものと、かつて名古屋城に保管されていた資料、その大部分は戦前の調査の出土品と思われるもの)に加えて、戦前の調査時に撮影された写真資料や、昭和55年(1980年)に名古屋市が発掘調査を行った際の出土資料を展示します。土器や骨も破片がほとんどで、ひとつひとつの資料の持つ情報はそこまで多くありませんが、展示全体を通してみたとき、当時の人びとがどんな集落で暮らしていたのか、ぼんやりと見えてくるかと思います。さまざまな種類の資料から、当時の遺跡の姿を想像してみてください。

発掘時の土層を剥ぎ取ったもの。貝殻や土器片が土に混じっている。

大曲輪遺跡の土層断面(名古屋市教育委員会蔵)

縄文土器の破片と石器、骨角器

大曲輪遺跡出土の土器・石器・骨角器(館蔵)