展示

常設展フリールーム

浮世絵 英泉・国貞・国芳・広重

  • 平成30年3月6日(火)~3月25日(日)

 名古屋市博物館が収蔵する浮世絵は高木繁氏(1881-1946)と尾崎久弥氏(1890-1972)が大正から昭和にかけて収集したコレクションが核となっています。

 東京出身の医学博士高木氏は泌尿器研究のかたわら浮世絵の収集をはじめました。彼を魅了したのは歌川国芳(1797-1862)の武者絵や戯画でした。今でこそ国芳は幅広い年代に人気を誇りますが、当時の浮世絵愛好家からはさほど評価されていない存在でした。そのなかで、高木氏は国芳の浮世絵、とりわけ武者絵の魅力を熱く説く論述を発表しています。高木氏のコレクション231件534点は、令息健太郎氏が名古屋市立大学学長を勤められた縁で平成12年(2000)、当館へ寄贈されました。

 一方、名古屋市出身の尾崎氏は短歌や文学に親しみながら青少年期を過ごしました。教職について以後に浮世絵の収集をはじめ、高木氏と同じように、溪斎英泉(1791-1848)や歌川国貞(1786-1864)の魅力に先んじて注目しました。尾崎氏は、浮世絵はもちろんのこと、郷土史の研究にも邁進し、『江戸軟派雑考』など多数の著作をものしています。そのコレクションは氏の没後、地元である名古屋市蓬左文庫へ寄贈され、うち浮世絵など1,937件2,836点が昭和60年(1985)に当館へ移管されています。

 このたびは自身の愛した浮世絵の普及に努めた高木氏と尾崎氏の収集品を中心として、名古屋市博物館が所蔵する浮世絵のうちコレクションを特徴づける優品約20点をご紹介します。

大きなガイコツがすだれを壊して部屋の中をのぞきこんでいる絵

歌川国芳「相馬の古内裏」
館蔵(高木繁コレクション)

筆を手に取った和装の女性の絵

溪斎英泉「美人懐中鏡 時世六佳撰」
館蔵(尾崎久弥コレクション)

部屋の中で火鉢にあたったり身支度をしたりする女性たちの絵

歌川国貞(三代豊国)「廓の明け暮 昼見世前(草稿)」
館蔵(尾崎久弥コレクション)

提灯を灯しただんじり舟5艘が池を進む様子の絵

歌川広重「六十余州名所図会
尾張 津島天王祭り」
館蔵(尾崎久弥コレクション)