展示

常設展フリールーム

西光寺地蔵菩薩立像の納入品

令和元年5月29日(水曜)~6月23日(日曜)

 平成30年、津島市西光寺の地蔵菩薩立像と像内に収められた品々が、国指定重要文化財に指定されました。

 西光寺地蔵菩薩立像は、平成26年度に修理がなされました。その修理の過程やクリーニングにより、仏像本体の構造や表面の装飾等、多くの発見がありました。以前からX線写真によって存在は知られていた納入品についても、この修理の際像内から取り出され、その全貌が明らかになりました。

 今回のテーマ展では、西光寺地蔵菩薩立像の納入品を一部ご紹介します。納入品を紐解くと、造立当時における「人々の思い」が時代を超えて感じられます。

 尚、納入品の多くは、経年による脆弱化が進み、広げて展示ができないため、今回はごく一部の紹介となります。ご了承ください。

経典の一部の写真

無量義経(むりょうぎきょう) 鎌倉時代初期 西光寺蔵 国指定重要文化財

 像内に収められていた経典のひとつで、一行一筆結縁経(いつぎょういっぴつけちえんきょう)といわれる珍しいものです。一行ごとに筆写者が変わり、行末にその人物名が記されています。京都近辺の僧侶・貴族・仏師の名がみえる。この一連の写経事業に参加した人数は、5000を超えるといわれており、写経に参加した人々は、おそらく資金面での協力もしていたと考えられます。

小さな地蔵像がたくさん印刷された紙の写真

地蔵菩薩印仏(じぞうぼさついんぶつ)(東山道) 鎌倉時 西光寺蔵 国指定重要文化財

 一行一筆結縁経は京都近辺の人々の参加を示すのに対し、本資料は日本全国で勧進が行われたことがわかる資料です。表面に地蔵菩薩が刷られ、裏面には仏像造立に寄進を申し出た人々の名が記されています。中には、尾張国の印仏もあり、約100人の名前がみえます。京都から遠く離れた地の人達も、この印仏が像内に納められることで、「結縁」をしたこととなりました。

 西光寺地蔵菩薩立像の納入品は、鎌倉時代の仏像制作の勧進の様子が具体的にわかる、とても面白い資料です。今回はその一端をご紹介します。約800年以上前、鎌倉時代初期の人々はどのような思いで仏像を制作したのでしょうか。タイムカプセルを開けるような、ドキドキ感をお楽しみください。