展示

常設展フリールーム

尾張の円筒埴輪

  • 平成30年10月24日(水曜)から12月24日(月曜・祝日)

 古墳時代中期以来、須恵器の大生産地であった尾張では、古墳時代後期になると須恵器の技術を応用した独特の円筒埴輪が創出され、その製品は濃尾平野全域および三河や三重県域の一部にまで広く供給されました。その尾張独特の円筒埴輪を「猿投型」あるいは「尾張型」と呼んでいます。

猿投型(尾張型)円筒埴輪は、回転台(ロクロ)成形、内外面の回転横ハケ、回転台離脱のための底部回転切り離し、ヒモを用いた未乾燥埴輪の移動といった特殊な製作技法群によって成立しています。さらに、大型品では倒立技法、一部の個体または地域では灰色の須恵質焼成も確認できます。つまり、須恵器生産が盛んであった尾張の窯業技術を活用して生産効率性を極限まで高めた埴輪生産の確立こそが、猿投型円筒埴輪の登場であったといえます。

本展では、猿投型円筒埴輪の登場とその前後の時代の円筒埴輪の特徴を、名古屋市内の古墳から出土した円筒埴輪の代表的資料を通してご紹介します。

素焼きの筒状の焼き物が並んでいる写真

高蔵遺跡(熱田区)出土の円筒埴輪
名古屋市教育委員会蔵